太宰治 | キャプテン渡辺オフィシャルブログ「キャプテン渡辺の確変ブログ」Powered by Ameba

太宰治


私の専門学校の同期に、ハラショーという元芸人でもあり、三遊亭円丈師匠の弟子の落語家で、現在ナベプロで作家をやっている人間がいる。彼とは何だかんだと長い付き合いで、彼が作家になってからはネタの事を相談する機会も増えた。

昨日、彼にネタの相談をしようと思って会ったのだが、何やら彼は終始浮かない顔をしていた。「どうしたんざますか?」と、聞くと彼は言う。最近鬱だと。躁鬱が激しいのだと。俺は太宰治なのだと。

どうやら作家の仕事も今イチ上手く行かず、「そもそも俺がほんまにやりたい事は何なんやろう…?これから一体どうしていったらいいんやろか…。」と本格的に悩み始め、私は実にネタの事を考えたかったのだが、地獄を八丁目くらいまで知ってるような顔で悩んでいたので、悩み相談に付き合う事にした。

大体こういう場合は、本当は自分でどうすればいいかわかっているものだ。背中を押してやればいいと私は思った。彼の場合は、おそらく演者の方にまだ未練があるに違いないと思い、「もう一回落語に戻ってみたら?」と、「やるかやらないかで悩んでいるのは下の下だ。」と私は言った。

しかし、彼は全く釈然としない。自分の悩みはそんな単純なものではない。深淵でかつ漆黒の悩みであり、人間の根源に関わる問題であるというような顔で悩み続け、ああでもないこうでもないと我々は三時間語り合った。

ふと私が、「劇団を立ち上げるとか、そういう手もあるけどなあ。」と言うと、彼が突然「…それだよ。」と言った。勝新みたいな顔をしているではないか。どうやら劇団、それも喜劇団をやりたかったらしい。

「え!?」と私は思った。深淵かつ漆黒の悩みが、そんな元芸人や、この手のタイプの奴に超ありがちな、「劇団を立ち上げる」という結論で解決するとは思わなかったからだ。太宰治は絶対に喜劇団を立ち上げる事はない。何が「…それだよ。」やねん(笑)。

彼は既にホクホク顔で喜劇団の構想に付いて語り始めている。時刻は深夜の3時だ。深夜3時に「元芸人が劇団を立ち上げる話」及び、「まだ立ち上がってもいない喜劇団の構想」を真剣に聞いてあげるのはまだ人類には不可能だろう。私は早く帰って将棋のアプリがしたい、と思った。

今、人類の進化が望まれています。











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