ペヤング、ペヤンガー、ペヤンゲスト | キャプテンニッポンのソウル温泉

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ウォンチュー,スリー,フォー,ファイブ,セックス,ヘブン!


カップ麺の誕生とともに同時代を生きたリアルタイム世代だ。
だから今もオリジナルの、赤の日清カップヌードルには
頭が上がらないし、たまに食べると美味い不味いを通り越して
昔の歌謡曲がいい
のと同じで琴線に響く。初めてカップ焼きそばは食べたのは
UFOだったかペヤングだったか。袋めんの焼きそばは好きだけど
焼いてない焼きそばを、これは失敗作だ、徒花で終わるよ、と
一家で一丸となってディスってた。はずだがあれもいつしか
こちらの美味い不味いを巧妙にシャッフルして、誰かが食べてると
無性に食べたくなる、孤高の憑依型嗜好品
にまで昇りつめた。ああとんかつが喰いたいとか野菜が足りないとか
そういう自発欲求とはべつのところで、たかだか即席の、パチモンが
人の食欲や嗜好を掌で転がすようにコントロールするって一体…


朝飯にペヤングの超大盛食べました。


今回は誰かの感染ではなしに、なんかのTVの
早めに湯切りしたカップ焼きそばを
レンジに入れて水分を飛ばすと…
麺がもっちり、生麺のようになる
って話のシェイクダウン。ためしてガッテンとか
伊東家の食卓とか、ああいう番組のその手の話はまあ
大失敗か小成功。
餅の保存にタッパーの蓋裏に使い捨てカイロを貼ると
カビが生えない→翌朝、結露で全滅。とか一世を風靡した
食材の50℃洗いなんかはそれなりに効果は実感できたが
へえとかほおがつづかない。面倒億劫飽きる。



で結論。

見えてますかこの麺の透明感。生麺、とまではいかないが
袋のやつと生麺の中間ぐらいのとこに着地。しつこく
湯切りをしても切りきれない麺の水分を蒸発せしめるだけで
なく、薄べったいジャンクな食感の、たぶん断面は長方形の
あの麺が、まるっとパンパンに張りつめたみたいになる。


うまい。うまいよ。カップ焼きそばの新次元だ。けど人は
一発一発の満足度が高いと次を欲するスパンが長くなる。
ジャンク神、日清創業者安藤百福のジャンクの定理だ。
飯店並に美味い中華麺は作れるが敢えてそれはやらない──
そこだ。赤のカップヌードルやペヤングの、もっと云や
チキンラーメンの魔力呪力は。そもそもジャンクに完成を求めて
ない。求めちゃいけない。カップ焼きそばはあのだらしのない
残留水分をくちびるでしごいてすするのが正しいお行儀だろ。


カップ焼きそばにはカップ焼きそばの
生麺(つうか蒸し麺か)には生麺の
袋めんには袋めんの、それぞれの
享受の仕方とTPOに人類は辿り着いた。
抵抗力や記憶力、もろもろが退化し
弱体化したオレたちが唯一手に入れたと
断言できる進化がこれだ。他には…


まるで覚束ない。子供の頃思い描いてた空に透明のチューブ
渋滞のない未来ではなかった。ちょっとショックだけれど


うまいこたうまい。