湯巡り、と云えば聞こえは良いが
一湯でも多く
仕留めたほうが勝ち、戦いに赴くって
意味での、真の意味での遠征。ガチ。
たぶん目はイッてる。
目的地が射程距離に入ると嬉々となって
アクセルを吹かしながら、気持ちの上では
パンツ脱いでる。
行きは良い良い、帰りは虚脱。
もぬけの殻。シルクハットをかぶった睡魔との攻防。
距離が距離なだけにもはやサウンドトラックも尽きた。
ってなった時の旅先のBOOKOFF。
カーペンターズとか浜省とか、普段はなかなか買わない
少し耳慣れない歌を入れてやれ。そんなタイミングで
『パリ、テキサス』のサントラ。

ライ・クーダーは大好きだ。どこの旅先の風にも合う。
けれどこのサントラは、コースインコースアウトも
自由自在、もう少しあと少し…の融通のきく自由気儘な
一人旅から自由を根こそぎ奪ってく、まるで呪いのように。
しかも眠い(=_=;)
まだ紳士的だった睡魔が長い柄の鎌をたずさえて、ルル♪
とサイドシートで口ずさむ、これは死出の子守唄か?
スライドは死神の鎌ずれの音。
やたらとアクセルも瞼も重い。湯と運転とスライドと
映画自体の重量と

ヴィム・ヴェンダースとサム・シェパードと
ハリー・ディーン・スタントンのどっとくる感。
ナスターシャ・キンスキーの

幻影がまた、おいでおいでをする。