やだやだ、この邦題。三十年も前の
ハリソン・フォードの、忘れがたき秘密の恋。
刑事と、殺人事件の目撃者となった少年の
母にして、寡婦。名前はレイチェル。またまた
ワケありのようでいて、さしたるワケもない
ほどほど骨太で肉厚で、現実的に美しい
ケリー・マクギリス。唯一の事情。

この映画でアーミッシュを知った。文明を拒絶して
絶対禁欲主義に生きる、アメリカのドイツ系移民。
クリスチャンの一派。当時は素朴な人々なんだな、と
ことさらにレイチェルに思い入れたが、オウ厶とか
湾岸戦争やダーイシュ、統一教会、幸福の科学なんかも
あとはヤマギシ会とか、ああいうその人たちなりの
真理や正義が、世間一般のなんとはなしの固定概念と
何度となく軋轢を起こすのを見るにつけ、ああ
オレたちは薄い…
オレたちは事の善悪を云々する資格もない
なんて受け売りと刷り込みとに飼いならされた民だ。

もう主君アメリカのご都合が染みついた思考回路を
振り返ることすら恥ずいんだが、だいたいヨソの女を
いらってはいけないのだって、儒教がもたらした
倫理だろう。く、余計なマネを。ああそうだアメリカや
バチカンは砂漠の民の一夫多妻制が気に入らんかね。
ああケムたいケムたい…
結局、オレたちは
誰かに許しを乞う義務はない。誰かの裁きを待つ
必要はない。さあオレの手をとれ。オレの背に
またがれ。またアレ?話がそれた。ジョン・ブックは
ハリソン・フォードはオレにこう語りかけてくんだ。
真摯な下心で越えられぬ境遇などない。
