正直90年代のブルーハーツなんて、マーシーの
『HAPPY SONGS』を熱心に聴いたぐらいで
ほかは1ミリも関心がなかった。『TRAIN-TRAIN』
のアルバムを所有したり通しで聴いた記憶すら
ほぼないので、88年か89年かそこらではもう
「僕たち」を束縛して孤立無援化を謀ったかどで
蔑んでいたはずの大人になってた。虫がいい。
安定とか定職とか結婚とか、三ツ釦じゃないスーツとか
何の躊躇いもなくゲートを通過しちゃって、飲めない酒を
修行のように飲み下しては胃腸薬が手放せなかった頃。
『DUG OUT』の素晴らしさの、僕は蚊帳の外。

結果ラストツアーとなった凸凹ツアーのオープニング。
幕前のストリングス隊のイントロにいざなわれ『手紙』、
地の裂け目から地団駄を踏みながら生まれ落ちる悪魔の赤子
のように見えるヒロト。余裕綽々な裸の大将っぷりが鼻に
ついてしかたなかったある時期以降の甲本ヒロト最期の
本気の狂気覚醒。
の瞬間。『DUG OUT』のヒロトの、形振り構わぬアップアップ
いっぱいいっぱいは『Abby Road』でのポール・マッカートニー
のそれ、そのもの。『夕暮れ』や『パーティー』での切迫した
ヒロトは『未来は僕等の手の中』もっと云や『1985』以来だもの。
僕はずっとずっとこれを待っていたのだけれど悲しいかな
夏休みはもう終わり。


人生にたらればはないけど、リアルタイムでこれやそれを
済ませていたならもう少し大人らしい大人に。ねえヒロト。