ダイアナ・ロスともうひとり。彼女の劇薬にくらべたら
ずっと。気がつくと助手席やベッドサイドで鳴ってる。
バカラックの操り人形みたいだった少女期から



もう大好きで、本来のダイナミズムの一切を禁じられた
いいんです私…あなたの好きなように歌いますから…的な
いたいけさ、邪な支配願望の禁じ得なさ。南部録音や
フィリーソウルへの接近。うん、どこへ行っても寄り添う声。
手塚漫画の心を持ってしまったロボット、ロビタのように
たぶん唯一、彼女自身のソウルが堰を切って迸ったの
'You're Gonna Need Me'
ぐらいじゃないか。モータウンと袂を分かつた世界最高の
ソングライティングチーム、ホランド=ドジャー=ホランドが
ようやく轟かせたディオンヌの激情。秘めつづけた薔薇。
許されんならもう全部聴いていかれてよ、折角だから
なはずが。

このジャケ。箪笥の角にぶつけた小指のように痛えよ。
のせいかははわからないけど、そこそこ知る人ぞ知る作品に。
ビージーズのギブ兄弟による、未曾有のグッドメロディー
'Heartbreaker'が世界中に鳴り響くのは
まだまだ全然先の話。でも今度は、妙なる切実な調べは
ジャケを越えてった。

ずっと好き。全キャリア盲信盲愛。