もうねオレ、憧れてたなんてもんじゃ
なかったからね。マーシー。うん。
ホーリーバーバリアン名義の『カローラ』を
聴いた日からオレは、マーシーのすべてを
呑み下し、マーシーのように吐き出したいと
願った。彼はまるでブライアン・ジョーンズや
シドやレノンの亡霊に憑かれたように
きらびやかだったし、ビートニクの詩人たちや
ヴァージニア・ウルフやら中也やら朔太郎やらが
オレたちの世代に届けきれなかった言霊を
たずさえてつかわされた、まるでイタコだった。
『夏のぬけがら』と『HAPPY SONGS』は今も
下心や虚栄心を助手席に乗せずに、何処をも目指さない
真夜中や早朝ドライブの公式サウンドトラックだよ。
そのマーシーと



まあ何ひとつ化学反応の期待できない三人が(笑)
その期待にある意味見事応えた無欲作、
『ガランとしてる』
中央線沿線に焦げついた人々の、中央線沿線愛が炸裂。
吉祥寺の街をただぶらぶらと徘徊する初老の男ふたりと
毎日かあさん、なV。オレは苦手だ。武蔵野アウェー。
りりィを聴きに行った夜のあの吐くほどの酩酊感と
腹が鈍い感じはまさにそれ。あそこらの、無欲でございな
オーラを身に纏いながらもしれっとすべてを手にしてる
住人の「ああ町田あたりの欲しがり屋さんだね( ´_ゝ`)」な
「べつにいてもかまわないけど(笑)」な余裕綽々さに
都度都度苛まれんだよね。被害妄想なんでしょうかねコレ。
生まれも育ちも井の頭線沿線なんで、昔はよく遊んだ街…
なんですがね。今は遠い。ここ十日ばかりますます遠い。
すっかり汚れつちまつた。