かつて通いのハム屋には魅惑のマダムがいて
「また欲しいのね僕」とクスクス笑っては
ベーコンの端切れや、正規品ではないこの緑の
イチモツたちを内緒で横流ししてくれた。
素晴らしく味わい深いイツブツってわけじゃない。
ただ雲を食むよな食感と、限りなく無我な風味
見た目の非日常感は、デリーのカシミールカレーの
あの殺伐とした辛さを、ひしと抱きとめてくれる。
辛い痛い、ぶつ、はむはむはむ…無が訪れる。これを
いい仲と云うのだ。どこまでも舌と歯が弾むんだ。
マダムはもういなくて、きのうは味気ない
別ルートを通じて、無理くり入手にこぎつけた。
やっぱり小粋なやりとりをへていないそれは
弾み方も沈みがちだ。旨いまずいを越えたとこで
オレの舌は躍るのだ。スウィートな関係てのは
じつにかけがえのないもんだった。
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