たどりついたらいつも雨ふりまただ。いつまでも手のなかにあると信じて疑わなかったものが失せてく。通いのラーメン屋につづいて通いの湯も廃業。殊更にすばらしくもなかったけれど、近所だったし十年以上の愛着もあり、フロントの橋本さんは魅惑の主婦パートさんだ。名残が重くのしかかる。世界は残酷で美しい。歌は世につれても、世は歌にはつれやしないのと同じで、湯や喰いものや遠巻きに愛でていたひとにもつれてはくれないのだ、世はけっして。Android携帯からの投稿