カアチャンハムニダ | キャプテンニッポンのソウル温泉

キャプテンニッポンのソウル温泉

ウォンチュー,スリー,フォー,ファイブ,セックス,ヘブン!

僕の奥さんは私利私欲の
とても薄い人で
ひとがチャーシューメンを
食べている横から
自分の、ただのラーメンから
チャーシューをせっせと
横流ししてくれる徳の高さ。


それはチャーシューにかぎったことではなく
あらゆる場面でさまざまなかたちで
やられるので誰も彼もが口を揃えて云うんです。
ひたすら分かち与える出来すぎた妻と、
闇雲に欲しがる馬鹿すぎる亭主だ、と。白と黒。



まあ概ね正解。


どチンピラ呼ばわりは甘んじて受け入れるとして
でも都合のいい女みたいな、ただ黙って
そこにいる、チャーハンが上手く作れるだけの女でも
ない。彼女のチャーハンは海老と卵、味は
塩と味の素のみ。それ以上でもそれ以下でも、飯店系の
味から遠ざかるのだと云う。わかってないよで。


全部わかってる。でも冷凍のむき海老をきらした日は
猫たちのカニカマとハムで作る。彼女はこれを
「チャーハンカニハム」と呼ぶ。ハングルの感謝の意と
ドイツ語の性戯が、脳で乱れ飛ぶような無軌道な
ネーミングだ。稀にうまいチャーシューがあると、これが
「チャーシューカニハム」となる。なんかそれ
ハンニバル・レクターじゃん。『羊たちの沈黙』の。
しかも本体をあらわす呼び名すらぶっちぎった。


いつもは何も欲さず、従順なカピバラのようでいて
時々そうやって脳を揺らす。正体がわからない。









Android携帯からの投稿