最高の手札を明かそう。とんかつ。
西武国分寺線。国分寺から恋ヶ窪、鷹の台。
現在の妻が住んでた。昔、夜陰に乗じて
夜な夜な通いつめた町だ。なぜ夜陰に乗じたか。
それは云いにくいがともかく僕らは愛を育み
そんな夜はきまってこれを食した。むさぼった。
鷹の台ジュノン「肉巻きカツ」
ロース肉のスライスで、青葱入りのミンチを
巻いて揚げたのに、おろしポン酢感覚で
オリジナルおろし玉ねぎソースをかけて喰らう。
食感の三段ドロップ。ひと噛みごとにギアが
入り、ザクザクと獣じみた咀嚼リズムが加速する。
マスター安念の、会心のグレーテストヒッツだ。
飲食はすべからく奉仕だ、と云う僕の左翼的な
幻想の原点はこの店だ。何も法外な安さや
盛りを要求するわけじゃない。とんかつ屋がそこに
あるのは、ラーメン屋がそこにあるのは、そこに
ないと困る人がいるからじゃん。うまい飯を巡っての
「ありがとう」と「ご馳走さま」の対等でシンプルな
ギブアンドテイク。その究極のさらに上を行く。
狐か狸に化かされてるのか。650円って。
じつは妻が学生時代、この店でアルバイトを。
その関係で行くと色々、サービスしてくれ
行きにくい。金なら落とすから、これ以上何も
してくれるな。だがこのマスター安念には
原価率や粗利と云う概念がない。気高いにもほどが。
カツガーリック。880円。カツonガーリックライス。
もう喰いきれないくらい頼んでんだ。
ねぎトロなんて出してくれるな。
まして食後にアイスコーヒー。ありがとう。
だがまじで。奥ゆかしい僕は気が引けて仕方ないや。
きょうも浮かれ半分、心苦しさ半分で向かったら。
カツライス520円→490円値下断行中(T-T)ほら看板に。
馬鹿には見えない文字で
「富を追うものはさもしい
─マザーテレサ」と書いてある。
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