照明がおちて
ゆるやかに音楽が流れ出したら
愛する人を抱き寄せて
愛とは つまりはそういうこと
音を立ててはだめ
ふたりきり ほかには誰もいない
さあ もう愛に身をゆだねて
聴こえるだろう 鼓動の高鳴り
永遠なんてないとわかっていながら
それでも 永遠の愛をのぞむんだ
あるべきものを あるべき場所へ
あるべき姿で まったき姿で
魂のまま 心とからだの命ずるまま
Sam Cooke 'That's Where It's At'
サム・クックは、人種音楽=ソウルの
壁をあざやかに越えた最初の一人で
白人マーケットを戦略的に見据えていたため
ディープな黒さを期待すると肩透かしを
喰らう。ポップスだ。とてもオールディーズな。
でもまあ彼の挑んだ、黒人が制作のすべてを
掌握し正当な印税を得るための闘争を
知るにつけ胸が苦しくなる。そこへ追い討ちを
かけるのが、ハーレムスクエアの実況盤と
『Night Beat』、Soul Stirrersの神憑り的な叫び、だ。
ゴスペルの厳かな精神性と、ブルーズや反抗の
奔放さ。ああサムってこれなんだ。多くの
リスナーは膝をうつ。けど彼はもっと危険なものを。
醸してた。これはヤバい。バヤい。
彼が自身のレーベル、SAR Recordsで編み、育んだ
黒光りする原石たち。のちにスタックスで
輝かしい成功を収めるジョニー・テイラー。ボビー・
ウォーマックを擁するザ・ヴァレンチノス。
サム&デイヴのプロトタイプみたいだった熱い熱い
シムズ・ツインズ。おしなべて悪魔的に危険物。
まさにソウルのあるべき姿で。原型どころかさ
ソウルミュージックの向こう十年間がここに
ある、と云っても。ロックの地平すら。
だってヴァレンチノスの'It's All Over Now'なんか
ストーンズが飛びついてカバーしたくらいだ。
その先鋭中の先鋭だった希望のSAR Recordsも
サムの死(謀殺だろ?)によって哀れ解体。
でも彼の志はソウルの過去と未来をいまだ照らす。
お茶の間レベルでスルー、が歯痒い。勿体無い。
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