That's Where It's At | キャプテンニッポンのソウル温泉

キャプテンニッポンのソウル温泉

ウォンチュー,スリー,フォー,ファイブ,セックス,ヘブン!

照明がおちて
ゆるやかに音楽が流れ出したら
愛する人を抱き寄せて
愛とは つまりはそういうこと

音を立ててはだめ
ふたりきり ほかには誰もいない
さあ もう愛に身をゆだねて

聴こえるだろう 鼓動の高鳴り
永遠なんてないとわかっていながら
それでも 永遠の愛をのぞむんだ

あるべきものを あるべき場所へ
あるべき姿で まったき姿で
魂のまま 心とからだの命ずるまま



Sam Cooke 'That's Where It's At'



サム・クックは、人種音楽=ソウルの
壁をあざやかに越えた最初の一人で
白人マーケットを戦略的に見据えていたため
ディープな黒さを期待すると肩透かしを
喰らう。ポップスだ。とてもオールディーズな。


でもまあ彼の挑んだ、黒人が制作のすべてを
掌握し正当な印税を得るための闘争を
知るにつけ胸が苦しくなる。そこへ追い討ちを
かけるのが、ハーレムスクエアの実況盤と
『Night Beat』、Soul Stirrersの神憑り的な叫び、だ。


ゴスペルの厳かな精神性と、ブルーズや反抗の
奔放さ。ああサムってこれなんだ。多くの
リスナーは膝をうつ。けど彼はもっと危険なものを。



醸してた。これはヤバい。バヤい。



彼が自身のレーベル、SAR Recordsで編み、育んだ
黒光りする原石たち。のちにスタックスで
輝かしい成功を収めるジョニー・テイラー。ボビー・
ウォーマックを擁するザ・ヴァレンチノス。
サム&デイヴのプロトタイプみたいだった熱い熱い
シムズ・ツインズ。おしなべて悪魔的に危険物。


まさにソウルのあるべき姿で。原型どころかさ
ソウルミュージックの向こう十年間がここに
ある、と云っても。ロックの地平すら。
だってヴァレンチノスの'It's All Over Now'なんか
ストーンズが飛びついてカバーしたくらいだ。


その先鋭中の先鋭だった希望のSAR Recordsも
サムの死(謀殺だろ?)によって哀れ解体。
でも彼の志はソウルの過去と未来をいまだ照らす。


お茶の間レベルでスルー、が歯痒い。勿体無い。








Android携帯からの投稿