かつて僕には愛した女がいた。
や、上下関係は明白で僕が彼女に
踊らされていた、と云うべきか。
彼女は「部屋を見せてあげる」と
云って、僕を部屋に招き入れた。うん。
いい感じだ。彼女は愛を欲してる。
「泊まっていったら」と彼女。「好きな
とこに座って」ふうん。でも見渡してもどこにも
椅子らしきものはないことにふと気づいたんだ。
ラグに腰を下ろし、ワインを飲みながら
だらだらと。夢中で語り合ううちに夜も更けた。
午前2時。彼女のほうから「もう寝ましょう」
「朝から仕事だったから」彼女は笑いはじめた。
や、僕はまだ。主張するもなんでか風呂で寝るはめに。
なんでか彼女のベッドには入らなかった。なんでだ。
朝、目を覚ますと僕はひとり。ぽちん。
手のなかにいた小鳥は飛び去ったあとだった。
ひどく寒い。くっそ。心に何かの火が灯る。
いつもこんな。彼女はそうしたかったのに。
The Beatles 'Norwegian Wood'
だいたいいつもこんな。
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