暗い部屋。壊れた目覚まし時計。
気のふれた老人。アーネスト・ボーグナイン。
妻の死を受け入れられない。枯れた鉢植え。
9時16分。朝なのか夜なのか。眠る老人。
つけっぱなしのTVが映し出すWTCの崩壊の瞬間。
窓から突然射し込む光。老人を照らす。
鉢植えの花が。みるみる蘇る。
「ダーリン、なんてこった」泣き崩れる老人。
ゆっくりと窓からパンするカメラ。
アパートメントの壁面に写るもう一本の長い影が
黒煙をあげ音もなく崩れ落ちる。
'11'09''01 September11'
9.11をテーマにした短編オムニバスに寄せた
当事国アメリカ代表、ショーン・ペンによる詩編。
学生の頃、死ぬほど憧れたショーン・ペンだよ。
'Bad Boys'
オレたちのショーン・ペンだ。オレたちの
時代のデ・ニーロだよ、と力説してまわったが
まわりは皆「ああマドンナの」「ちんくしゃ」
誰も取り合わなかった。だからこの作品は
ひんやりとした痛みを伴いながらも、オレのなかでは
誇らしいペンの、鬼才の揺るぎない証明でもあり。
透徹した視点からのノーコメントとも。
今はショーン・ペンをクサす人もいないだろうが
オレは蛇蠍のごとく嫌われ、叩かれまくってた頃の
彼の異臭が恋しい。
Android携帯からの投稿