2年ぶりに再会した妻の家族は
笑顔を絶やさなかった。津波によって
海岸から7㎞も内陸に打ち上げられた
難破船の写真や、モニタリングって?
自治体から携帯を義務づけられた
線量計を見せてくれた。一昨年の夏に
会ったときは「プリウスを買おうかしら」
と云ってた義母は少し太った。「何も
やることがないから」僕は黙ってた。
満足な補償もいまだ。それでも「金の
問題じゃない。住む家を奪われ、散り散りに
暮らす家族にくらべたらましだ」と義父。
僕はまた黙ってしまった。
裏千家か表千家かの、お茶の師範である
妻の叔母は、茶道具一式をホテルに運び入れ
別れの朝に茶をたててくれた。
結構なお点前で。これはなんとか云えた。
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