あった。クルマで1、2分。
歩いても15分くらいの場所だが
行ったこともない。まるで用もない。
高ヶ坂団地、と云う名の古い独立国家のような
ところ。
駅から離れ、小さな商店街を
抱え、周辺には住宅に紛れ個人の店が点々と。
坂と複雑な地形に囲まれ、独特の淀んだ空気が
漂う隔絶された生活圏。
同じ町田の、まるで
磯野家かさくら家のような築40年の
借家に暮らす身分で、言えた義理じゃないが
あんまりいいバイブは感じない。そこにあった。
これが『キルトの家』。ロケ地。
これが?シズル感のない
絵で申し訳ないが、どう撮ったって
住宅地の理髪店だ。どういうロケハンから
ここが選ばれたのか。ただ最終決定はやはり
山田太一なんだろう。ここに山崎努が。
かつて氏は
『岸辺のアルバム』で和泉多摩川と
登戸の対比を、『早春スケッチブック』では
瀬谷を、実在した八千代信用金庫瀬谷支店とか
希望ヶ丘高校を精緻に描くことで、サバービアの
郊外住宅地の淀んだ夕なぎを切り取って見せた。
緑山スタジオの帰りかなにかに
道を間違えて、ここらに迷いこんだ。
そして氏の某かのメーターが振り切れた。
ここだ。ここしかない。帰るなり一心不乱に
ホンを書き上げた。そんな感じなんだろうな(笑)
冒頭の駅舎と商店街は
やはり池上。電車とプラットフォームは
まるで別物。天才の妥協のなさ。スタッフ一同の
苦労が忍ばれる。3両編成じゃダメだったんだ。
オマエ、いまオレを呼んだだろ。こっちの台詞だ。
Android携帯からの投稿