こむずかしい音楽は苦手で
例えばヘンドリクスとかはごめんなさい。
何度も理解しようと向き合ってみるものの。
喰えない。中期後期の
ビートルズとか。実験的?いや実験の
過程って世に晒すべきなのかな、とさえ。
あとニルヴァーナなんかも。あんま鬱屈と
したのも。あれならサバスとかメタリカとか
あっちのが全然喰えるけど。
一般的に難解な、と云われる
作品で、唯一例外的に好きなのがこのアルバム。
Van Morrison 'Astral Weeks'
兎に角フリーフォーム。
フリースタイル。全編にわたり打楽器と化した
アコースティックギター。ウッドベースが呼吸し
スネアが語りかける。そして祈りにも似た彼の歌声。
すべての既存のフォームを
逸脱してる。ジャズだよ、と云われるが
ジャズには聴こえない。難解を気どる輩には
くそくらえだが、この果てしのなさには畏敬の
念すら抱く。畏れ、敬い、そして果てる。
歌詞を訳してみようと
試みたが、どこから手をつけていいかさえ。
もうひれ伏すしかない。脳がドロリと溶ける。
これは夢。ヴァン・モリソンが
寝て見た夢の結実か。極彩色の絵空事じゃ
なく、モノクロームの、知覚の扉の向こう側。
個人的に、楽しいおでかけからの
帰りはいつもこれ。永遠の下校のテーマ。
美しかった風景や心踊るサプライズが
サラサラ…と音をたてて、砂時計のように
記憶の皿に落ちてゆく。この音たちに促され。
音楽が、神から人への
祝福ならば、このアルバムは神への感謝だ。
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