逢魔ケ刻の忍び寄るその瞬間を
完璧に真芯で捉えた作品が在った。
ふたたび、ちあきなおみが高らかに
鳴り響き、そして木霊する。
夜へ急ぐ人が居りゃ
その肩 止める人も居る
黙って 過ぎる人が居りゃ
笑って 見てる人も居る
かんかん照りの昼は怖い
正体あらわす夜も怖い
燃える恋程 脆い恋
あたしの心の深い闇の中から
おいで おいで おいでをする人 あんた誰
『ネオンの海に目を凝らしていたら
波間にうごめく影があった 小舟のように
あっけないそれらの影は やがて哀しい
女の群と重なり 無数の故郷と言う
涙をはらんで 逝った』
昭和五十何年かの紅白でこれを
やったらしい。何丁目かのオールウェイズな
年の瀬の、楽しかるべき静かな夕べにカンカン照りと
オイデオイデ、を投下された日にゃお茶の間も
大禍時だったに違いない。これも彼女なりの
テロルかな。木霊鳴りやまず。NHKも
ご愁傷さまというほかない。
作者である友川かずきという
人は、よく知らないのだけれど
見えちゃう、見えちゃってる人なんだろうな
きっと。
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