本日は、産経新聞の記事を取り上げ、新しい防衛大綱に関する提言についてお話しします。結論から言えば、産経新聞は少々先走りすぎです。
 自民党ではこれまで国防部会の幹部会を3回開き、17日から平場での議論を始めました。これを踏まえ5つの点についてご説明します。
 まず、水陸両用部隊の創設に関しては、あくまで論点として上げているだけです。むしろ、既存の部隊や装備を活かすことが前提です。島嶼部を守るために必要な施策は何かという議論の一つでしかありません。
 また、敵基地攻撃能力については、確かに言及されているものの、これは伝統的にされてきた議論です。そもそも、能力的にみても、敵基地攻撃は容易に出来るものではありません。
 次に、基本的な考え方については「強靱な動的防衛力」となっていますが、議論の途上です。今後22大綱以降生じた、3.11、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上、中国の軍事力の拡大、米国の軍事予算の大幅削減などの情勢の変化を踏まえた議論をしていく必要があります。
 また、陸上総隊については、陸だけの話がピックアップされていますが、陸海空自衛隊をいかに統合的に運用するかという議論の一端です。
 そして、陸海空統幕僚長を認証官にする件については、国会同意人事となり、また統合幕僚長を認証官にすると、事務次官を超えるため、難しさもあります。
 このように、新大綱については、全てが議論の途上です。センセーショナルな文言が先行することは、諸外国に大きな誤解を与える可能性があります。今こそ、慎重かつ実利を取る強かな姿勢が重要です。