復旧に勤しむ被災地にでかけ、出迎えの態度が悪いとして現地指揮官である知事を「恫喝」した大臣が昨日までいたような気がする。

その元大臣が「自衛官であれば長幼の序を重んじるだろ!」というようなことをおっしゃったようだが、儒教の教えと軍規は全く別物であるということを日本の政治家は全く理解していないのだろうか?

年長者に対し、私的な場で丁寧語を使ったり、上座を進めたりと一般的な敬意を払うのは礼儀であり一般常識であろう。
しかし、公の場では指揮系統に属しない上級者に対し、隷従することは絶対にない。それが軍規である。

父親ほどの年齢の部下に対してでも、強い命令口調で指示を出せない指揮官は、決して部下はついてこない。そこには「長幼の序」など存在しない。

また、例え階級が上であっても、自分が属する部隊の指揮権を有しない者の命令など無効であるのだ。そうでなければ、階級が下の者であれば自由に動かすことができることになり、危なっかしくてしょうがない。


そこで考えるに、県知事は復興担当大臣の指揮系統に属しているのだろうか? 

勿論そんなわけはなく、地方自治を司る知事と国政を司る大臣の間に上下関係など存在しない。

「互いに立場を尊重しあい復興に努力していくべきカウンターパート」と捉えるのが常識的考えだ。

元大臣は「不適切な発言」によって辞表を提出されたようだが、本来は恫喝したこと(つまり人間的な資質)が問題なのでなく、復興担当大臣としての権限と責任の範囲を理解していないことが大問題だということを、メディアはもっと正確に伝えるべきである。


ちなみに、皆さんは「長幼の序」の他の4つの教えをご存じだろうか?

長幼の序は「孟子」に出てくる人間が備えるべき5つの徳目「五倫」の一つである

【父子の親】(親子は、互いに親しみあいなさい)

【君臣の義】(上司部下は、互いに義を重んじなさい)

【夫婦の別】(夫婦はそれぞれの役割を区別し、補い合いなさい)

【長幼の序】(年長者を敬い、節度を保ちなさい)

【朋友の信】(友人同志は互いに信頼を厚くしなさい)

最近の中国人と民主党議員に教えてあげたい道義ばかりである。