今日も10万人を超える自衛隊員が、被災地に災害派遣として活動しています。現在の我が国の状態は、文字通り「緊急事態」であるといえるでしょう。


未曾有の困難に対処している政府関係者に心からの敬意を表するとともに、私自身も「自分が菅総理の立場だったら何を考え、どのように対処するだろう」ということを考えながら、日々の政務をこなしています。

このような時、政治家(指揮官)はどのようなことを心掛けるべきでしょうか?

私のつたない自衛隊の現場経験からすれば、

「それぞれの担当を受け持つ部下を信頼し任せて、『責任は俺がとるから思い切りやれ』とデンと構え、チームの士気を鼓舞すること」

だと思います。

少なくとも、私がお仕えした数々の素晴らしい指揮官達はその様に行動していました。私が尊敬する田母神元航空幕僚長も、そのような有事型の指揮官でした。

部下を怒鳴り付けたり、「言うことを聞かないと処分するぞ」と脅したり、なんていうのは逆効果です。現場は益々萎縮し、「失敗は許されない」「怒られたくない」という緊張感と焦りがミスの連鎖を生み、状況を悪化させ、あるいは悪い情報は上に上げられず、組織としての機能不全に陥ります。

必要以上に情報と意思決定をTOPに集中させることは、緊急事態には向かない指揮の取り方です。現場で判断できることは現場が責任をもって実施する。情報は質や内容を考えて、指揮官の意思決定に必要な情報だけを上げればよいのです。

何かと「統制(コントロール)」したがる指揮官には、よい指揮はできません。良い指揮官は指示を与え、責任はすべて自分にあるということを示して部下をプレッシャーから解放し、信頼させる「統御(インフルエンス)」するものです。
(私は、そのように教わりました。)

間違っても、部下に決心させるようなことはあってはならないのです。