先日木曜日(1/27)の参議院本会議において、菅首相の施政方針演説への代表質問でのことです。

民主党の輿石東議員の中国との関係に対する質問において、

「いわゆる一衣帯水の間柄である我が国としては…」

と言われました。

そして、菅総理はその答弁として、「中国は、我が国とは一衣帯水の重要な隣国であ、日中関係はアジア太平洋地域、ひいては世界にとっても重要な関係だと認識をいたしております。」と答えられました。

一衣帯水

いったいどのような意味を含んだ言葉なのでしょうか?さっそく調べてみました。


【一衣帯水】
一筋の帯のように、細く長い川や海峡。転じて、両者の間に一筋の細い川ほどの狭い隔たりがあるだけで、きわめて近接しているたとえ。

さてこれは、「日本海という、狭い海を隔てて近接している隣国」という地理上の互いの特性を述べているだけなのでしょうか?

しかし、菅総理の答弁の後半部分を聞くと、地理的だけに限らず、「多少のイザコザはあるものの、日中相互の価値観・政治的スタンスは近接しているのだ」とも受けとめられ兼ねない、まさに誤解を招く恐れのある表現だと考えます。

「一衣帯水」の語源は、中国故事 『南史』陳後主紀(ちんこうしゅき)によります。

「隋」の時代。長江を挟んでの南北分裂が終息しつつありました。
隋の帝「柳堅」は、長江以北を統治していましたが、長江以南には南の王朝が未だ勢力を保っていました。
南の王朝の君主「陳后主」は、河南の民から富を搾取し、贅沢の限りを尽くす悪王でした。
そこで、隋の帝「柳堅」は、「例え長江を隔てているからと言って、河南の民の苦しみを放置しておいて良いはずがない。」と、陳王朝に攻め入り、南北統一を果たして、大陸全土の平和を樹立したというお話です。


今、海洋覇権を目指す中国の傍若無人な振る舞いに、悔しい思いをしている隣国があります。

台湾、フィリピン、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシア…

仮に一衣帯水というのならば、これらのリムランドの国々こそ、日本にとって「一衣帯水の隣国」ではないのでしょうか?皆様はどう思われますか?