視察の前提条件として、日本の政治機構と台湾の違いを明確にしておく必要がありました。
台湾の政治は、わが国の政治と異なり、5権分立体制をとっています。
立法権、行政権、司法権の他に、考試権、監察権というものがあります。
「考試院」は全ての公務員の採用試験や任用・管理等の人事管理を(日本の人事院に相当)、「監察院」は公務員・国家機関の不正に対する弾劾権・糾挙権の行使、及び各種国家機関の財政状況および決算等の会計監査(審計権の行使)など、国政調査を行う機関です。
議会にあたる立法院は一院制を取っており、選挙制度としては小選挙区比例代表並立制を取っています(選挙区:73、比例代表区:34、先住民区:6)「台湾の現状維持(経済優先派)」を掲げる中国国民党と、「台湾共和国の建設(独立派)」を綱領に掲げる民主進歩党の二大政党により成り立ち、現在は国民党が政権を担当しています。


今回、両方の政党の幹部議員らとの意見交換を行いました。

国民党では金秘書長(幹事長みたいなもの?)との意見交換会を実施しました。
$宇都隆史 オフィシャルブログ「ことら大尉のハート録!」Powered by Ameba
金秘書長は、現総裁の馬英九氏が引っ張ってきた民間の人物で、馬英九氏が台北市長時代の副市長を務めた人物です。
台湾では、近々に5つの直轄地選挙を控えているので、国民党がどのような選挙戦略を練っているのかが、試験交換の焦点でした。金秘書長は、選挙戦を左右するのは、教育レベルの高い若者層をいかにして取り込むかという点に係っているとの認識でした。若者の政治離れが著しい日本では考えられないことです叫び

特に代表の政治的イメージは大切で、政権を掴むには政治スターの存在が不可欠であるという点を強調されていました。その政治スターをいかにして作り上げるかはメディア戦略が重要で、政治の舞台が「メディアポリティクス」の時代の到来を告げていることを強く認識していました。メディアを通じて「若者への共感」「リーダーシップ」「クリーンさ・誠実さ」をいかにアッピールするかが選挙結果にかかわってくるとのこと。
政策論争も重要ながら、メディアをいかに駆使するかという点では日本の政治はまだまだ発展途上にあり、台湾にも後れを取っているのではないでしょうか?ガーン

一方、野党である民進党では、呉秘書長他、簫(しょう)国際部長、黄青年部長、羅元駐日大使他、党幹部数名との意見交換会を実施しました。
$宇都隆史 オフィシャルブログ「ことら大尉のハート録!」Powered by Ameba
写真を見てもお分かりのように、若い女性議員が多いのに驚きました目
民進党は「政治献金疑惑」から政権を失いました。もともと革新勢力である民進党には若手の議員が多く、若年世代からの支持を期待する点は国民党と同じ認識です。
民進党では、特にHPやBLOGなどのIT戦略や世論調査を用いた選挙戦にも力を入れているのが印象的でした

「台湾の政治はこの5~6年で若返った」とは羅元駐日大使のコメント。「公募などによる政治家の誕生過程が急速に変化している」ことが要因の一つであるというのです。

わが国においても、昨年の衆議院総選挙以降、公募による候補者選定が主流となってきた感があります。確かに今回の参議院選挙で、自民党もぐっと若返りました。
しかし、台湾の政治家を見ていると、まだまだ世代交代の足りなさを感じます。40代が政党の役職についてバリバリと政務をこなしているのですから…叫び