今朝は、大宮駐屯地前にて辻立ちです。
地元の有志のOB先輩方、そして東京スタッフの皆様が朝早くから協力して下さいました。
中には、かつての幕僚長も…叫び本当にありがとうございます。

さて、大宮駐屯地と言えば、陸上自衛隊化学学校があり、地下鉄サリン事件の時には大活躍しました。
あのカルト集団によるテロがおこるまで、自衛隊の中にいた私のようなものですら、戦争でもない限り、化学兵器対処を実際に行うなど、想像だにしませんでした。

現職の時、近代戦の中における、NBC兵器を使用されたときの対処要領について検討したことがあります。
NBC兵器とは、
N…Nuclear(核兵器)
B…Bio(生物・細菌兵器)
C…Chemical(科学兵器)
のことです。

これらは、比較的安価な投資で保有できるものですから、経済的に困窮している国家が軍事力を高めるためにはもってこいの兵器です。しかし、国際社会の非難を大きく受けますので、普通の国家は保有も使用もしませんが…あくまで普通の国家なら…。
しかし、使われたときの対処だけは、どの国家も十分に訓練をしておかねば、いざというときは大変なことになります。

現状の日本の防衛体制の中で、
もし、核兵器が使用されたら、どこに国民を避難させるのでしょうか?
もし、天然痘ウイルスや炭疽菌がばらまかれたら、どう対応するのでしょうか?
もし、再びサリンがまかれたら…
検討の結果は、今起きたら大混乱し、国家としての統制だった対処はできないだろうというのが私の結論でした。

確率的には極めて低い可能性に関しても、「もし、起きたらどうするか?」それを平時から考えておくのが安全保障の基本なのです。
前首相は、今年の防衛大学校卒業式において、「冷戦期に想定されていた大規模着上陸作戦が起きることは基本的にない。」と言い切りましたが、そんなこと誰にもわかるはずがありません。ただ、現時点では極めて可能性が薄いというだけであり、可能性が低いから、その対処はもういいだろう!ということには決してならないのです。

国家の安全保障は、失敗してしまったら、全てが終わりです。現与党の政権運営のように、「初めてだから勉強しつつ、実験的にやってみましょう。結果は見てみなきゃ分かりません」というのでは、危なくて仕方がありません。2000年以上に渡って続いてきたわが国の歴史が終わることになりかねないのです。

平和な日常にどっぷりと浸かって、いざという時に「煮えガエル」とならないために、国民全体に暁鐘を鳴らしつつ、独立国家として当たり前の安全保障環境にして行かねばならない、と改めて心に誓った大宮でした。

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