またもや無差別襲撃事件が発生! | 酒とホラの日々。

またもや無差別襲撃事件が発生!

俺ばかりが何でこんな不遇に見舞われるのだ。この苦しみをほかの恵まれた連中にも味合わせてやる・・・。


・・・こんな理不尽な動機でA君は酔った上に都心のオフィス街で行きずりの暴挙に出たのだった。 不幸にもこの日の被害者は4名にものぼる。


被害者のBさんは語る。
「ショックでした。混乱してどう対応してよいかわからなくなりました・・・」


・・そもそもことの起こりは、どうしたわけかA君がよく外人から話しかけられることにある。言うまでなく一般的な日本人の外国語会話能力などたかが知れたものだし、A君も英語をはじめ外国語はからきしなのだが、それでも外見は一応堅気のビジネスマンなので、ダークスーツに黒革靴黒かばんでのそのそ歩いていると話しかける相手に恵まれず途方にくれた外人が、こいつなら何とかなるかも知れぬと苦し紛れに話しかけてくるのだろう。
  
A君も話しかけられてはその都度A君なりに誠実に対応しようとするのだが、いかんせん、複雑な問いに語学力不足はいかんともしがたく、結局冷や汗脂汗をかいては迷える外国人を失望させることになるのである。 あまりの会話能力不足と降りかかる外人の会話ストレスにA君もキレた。何で俺ばかりがこんな目に?...ほかのやつにも同じ苦しみを与えてやろうと、ついにあるとき酔った勢いで外人の振りをしてデタラメ語でしきりに話しかけるという暴挙に出たのだった。
そのターゲットはいかにも英語のできそうな(憎たらしい)サラリーマンやOLである。


たいていの日本人はA君同様誠実な対応を試みるが、話すのは聞き取り不能のデタラメ語なのだから相手になるわけがない。しかもA君もカタコトの日本語や英語を断片的に取り混ぜるものだから、相手もついつい困窮した外人の必死の質問なのだと釣り込まれてしまったようだ。
昔デタラメ語を操る芸を持つ芸能人もいたが、A君もこの手の芸についてはなるほど筋がいいと認めないわけにはいかない。
  
捕まえた相手とひとしきり成立しない会話を力いっぱい試みると、必死の努力の甲斐なく意思疎通が図れなかったA君の絶望の演技と引き換えに己のコミュニケーション能力の不甲斐なさを突きつけられた被害者を置き去りにして、A君は消沈した気配を漂わせとぼとぼと去っていくのである・・・。
これを見て被害者は一層コミュニケーション能力の不足と自責の念に駆られることも
またあるかもしれない。
 
人間にとって真のコミュニケーションは常に困難な課題だが、
時にはエセ無国籍外国人にも注意しなければならないらしい。