臓器ドナーになってください | 酒とホラの日々。

臓器ドナーになってください


実は去年の誕生日に街頭で臓器ドナー登録をした。
自分の臓器が役に立つ、単純にいいことをしたと思って

私はちょっと社会に貢献したような気分だった。


その後、「ドナー登録された皆さんへご優待」とかいうツアーだのスリルと冒険だの
イベント案内が何通か来たが、臓器コーディネート会社もいろいろ気を使ってくれる

ものだと感心していた。


ところがある日コーディネーターと称する営業がやってきて言った。

なにやらイラついているようだった。

「当社のイベント企画には何かご不満がおありでしょうか?あまり参加されていない
ようですが。」

「いやー、御社の企画は、アドベンチャーやらスリルやら、結構活動的なものが多くて、
インドア派の私にはなじめないものがあって・・」

「はあ、そうなんですか・・・では、これなんかどうでしょうね」
営業がパンフを差し出した。
 「美女と深夜の魅惑のドライブ」
 「スリル満点のアドベンチャー企画!」
 「二人きりで小さな旅に行きましょう」

私がどれも行くつもりはないと言うと、しまいに営業担当の男は
吐き捨てるように言った。

「あんたねー、臓器ドナー登録しておいてねー、まさか老衰で死ぬつもりじゃないよね。ドナー登録したってことは、私は寿命をまっとうしません、ってことだろうに。ええ?
登録カード作って世の中にいいことした気分になって、いい気になるんじゃないよー!
ドナーはさっさと臓器差し出してこそドナーなんだよ! うらあ!!


年寄りの使い古した臓器なんか誰もいらないんだから、
若くてイキのいい臓器を提供してくんなきゃ、こちとら商売上がったりなんだよ!
早くドナー登録者が本物の提供者にならないかって、よだれたらした患者たちがヒクヒク動く新鮮な臓器を待ってるんだよ!!
それをあんたは、ドナー会員の気分だけ楽しんで、うちの企画が気に食わないたあどういう了見だ!ああ!?」


営業の剣幕にびびった私は、美女と深夜のドライブに

行く約束をさせられたが、一体このあと私はどうなるのだろう・・・。