ブログをやってて良かった事 | 酒とホラの日々。

ブログをやってて良かった事

十日ほど前のことだ。出先から会社に戻る道すがら、きれいな夕焼け空に出会った。
雲に描かれた夕映えの光と忍び寄る闇の絶妙のタッチに「これはイイ、ブログのネタになる」、と思った私は空をなるべく広く取り入れた写真を撮ろうと、すぐに目の前の商業テナントビルの屋上に上った。


屋上から眺める夕映えは一段と素晴らしく、私は屋上をあちこち歩き回ってベストアングルを探し当てると記事のイメージも出来上がる

「きょうのタイトルは、”あの空の向こうに”ってとこかな」いいネタを見つけた満足感に心も躍る。


だが写真を撮るにはどうにも目の前の金網フェンスと支柱や清掃用のゴンドラが邪魔だった。

そこでフェンスの上から写真を撮ろうと背広も靴も脱いで金網に足指を引っ掛けてフェンスをよじ登り始めたのだが、無人と思っていた屋上にいつの間に近寄ってきていたのか、背後から忍び寄ってきた男二人に怒号を浴びせられるとともに猛烈にタックルされてたちまち引き摺り下ろされた。私ははずみでデジカメを取り落としてしまい、なんとか二人を振りほどこうと抵抗したのだが、不意を突かれた上に多勢に無勢、たちまち羽交い絞めにされて、事務所らしきところに引きずり込まれてしまったのだった。


なにかオレまずいことしたか?不法侵入かな、とおどおどしていると、
年配のネクタイした男が、「まだ若いのに、早まったまねをするんじゃないよ! な、な、話を聞こうじゃないか。あんなまねだけはやめてくれ、な!」とほとんど泣かんばかりに懇願調である。
「へ? 」これは何かとんでもない誤解を受けたらしい、私はしどろもどろに弁明した。
「いや、あのですね、今日の記事がほら、私はただ、だから、あの空の向こうに、って・・・」
男の目がさらに吊り上がった。
「わかった、わかった!、わかったから、今は何も言わなくていいから。」
どうにも話にならない。口を挟む隙もない。


そうこうしているうちに、私のかばんの身分証明でも見て連絡したのだろう、会社の上司が現れた。やれやれ、これで助かったか、と思ったら、そこへビルの警備員らしい男が私の上着と靴を持って入ってきた。
「これが屋上のフェンスの下にそろえて置いてありましたっ。」  

部屋の空気がずんっと重くなった


上司いわく、「こんなになるまで、気付かなくて、俺が悪かった、俺が悪かったから、な、とにかく戻ってゆっくり休め、な、話はあとでゆっくりすればいいから。」 こいつも、てんで人の話を聞こうとしない。


私がふてくされていると今度は、なんと家族や親まで現れて、事務室はハチャメチャなことになってきた。親なんか遠いのによくやってきたものだが、嫁も親も来るなりすぐに泣き出して、みんなに慰められている始末だ。とても私が話をするどころではない。


事態をなんとかしようとしたのかまたあのネクタイの年配の男(このビルのオーナーなのだという)が言った。
「そんな若くて、思いつめることは無いんだよ、まだ若いんだからなんとでもなる!」


さっきから聞いていれば若い若いって、実際そんな自慢になるほど若くはないし、むしろ若く見られがちなのを気にしてるのに、このおっさんはもう、、、私もいい加減腹を立てて言い返した。
そんな若くはありませんよ、だいたい、モーツアルトなんか私の歳にはもう死んでるし・・」
また部屋の空気が凍りついた。 


しまった、たとえが悪かったか・・。結局この日は満足に話を聞いてもらえず、収拾のつかないよくわからない状態で帰されることになってしまったのだった。


・・・あの日以来、ちょっと周りの様子が変わった。相変わらず屋上事件の話は避けられているが、みんなとても優しい。気の向かない仕事が舞い込んでも、「疲れた..。」と言えば、別の人間がやることになるし、今日なんか窓の外を見てため息をついたら、上司がうな重をご馳走してくれた。家でだって町内の一斉清掃の日程など見せられても、庭の草が伸びても、「遠くへ行きたい・・。」とつぶやいて目を泳がせればみんな家族がやってくれる。


なんだか誤解されっぱなしなのはなんとなく納得できないのだが、ま、ともかく、

いやー、ブログやってて、良かったなー!


(いつまでこの極楽が続くのかわからないが)




****6月19日23:00 皆さんのコメントを拝見していて、なんだか不安になったのでテーマカテゴリを修正いたしました。ブログ→ホラ  当ブログではあまり意味のないカテゴリ分けではありますけれど****