ダ・ヴィンチDNAコード | 酒とホラの日々。

ダ・ヴィンチDNAコード

中世のスペインに突然キリストが現れる。ところが町を徘徊するキリストを、教会の大幹部、大審問官が捕らえて牢獄に放り込んでしまう。 牢獄のキリストに対し大審問官は、「お前が民衆にいらぬ自由などを与えたから、世の中は混迷し悲惨で今もってこの有様だ」 とこっぴどく非難する。
ご存知、ドストエフスキーの大作「カラマーゾフの兄弟」の一場面だ。

ここから現代にキリストが現れたら、という仮定の話になった。
P君が言うには、
「当然、大審問官同様、すぐにとっ捕まえてDNA鑑定だよな」
こいつは倫理学を扱う大学教員という、人類の中でも最も宗教的感化を受け難い人種であるので、言うことに歯止めがない。

「DNAを採取してキリストの末裔探しか?」と聞くと、

「甘い、甘いよな。キリストはユダヤ人だったから、割礼を受けているわけ。だからこれは有名な話だが、切り取ったあそこの皮がフランスの教会に今でも残ってるわけ。すでにバチカンがキリストのあそこの皮からDNAの採取には成功しているのさ。
だから双方のDNAを比較して真贋判定をするのさ。」


さらに極秘にこの皮のDNAからバチカンがクローンの研究に取り掛かっている、という話もあったのだが、そもそもクローン研究自体を教会が反対している上に、キリストのクローンなんて称する得体の知れないヤツがいたところで教会の利益になるとは思えないので、これなどはキリスト空飛ぶ円盤飛来説並みのトンデモ怪説ではある。

(もっとも、過去自称キリストはたくさんいたが。)

 ただキリストの皮は本当の話らしく、一方で教会が秘匿する情報が多いことなどから 教会の秘密主義がゆえにダ・ヴィンチ・コードのような小説が出てくるネタの宝庫を 教会自ら作っているのだなと思われた会話ではあった。

確かカラマーゾフの兄弟では、とらわれのキリストを前に大審問官は、「われわれは民衆から自由を取り上げ教会が管理する幸福な社会を構築するのだ」とぶち上げていたが、「人間の自由」と「社会管理側の論理」の関係をあぶりだして、教会だの宗教などにとどまらず今日の社会と我々にとっても色あせないテーマではある。

人間の自由欲求管理欲求の起源をDNAのプログラムに求める説もあるらしいが、万一キリストのDNAが解析されたら聞いてみたいのは、この一点だろうな。