雨中の庭 | 酒とホラの日々。

雨中の庭

 クローバー

雨にぬれた朝、

庭の小道の煉瓦に覆いかぶさってきた草花をかがみこんでよけながら、
小さな下草のにぎやかな充実ぶりが目がついた。

 

この時期、威勢のよい大きな植物が旺盛な活力を放っているが、
私は人目を引く繁茂の顕著な植物にではなく、

庭の隅小さな草にこそ庭の生気の芯となるものを感じる。

 

地味で小さな草ではあるけれど、
大きな木や草の都合に翻弄される彼らではあるけれど、
自分の自由になる世界の中で精一杯葉をを広げる彼らは、
決して受身ではなく、追いやられた敗者の論理によってではなく、
確かに自らの力によってのみ充実した輝きを放つ。

 

自分の自由になることと他者の手にあるものを見定め
自分の自由になる世界に十全の力を注いでいるゆえの輝きだ。

 

梅雨時の妖精が隠れているのはこんなところだ。