春、蕪村さんと歩く
春は夕時
のどかなのになまめかしく、期待にも似たざわめきと高揚感をたたえて
なかなか暮れきらない夕暮れは、それだけでただなぜかうれしいものだ。
だから長い日を欲張りすぎてしまうのだが、
ついには暮れてしまうことがまた惜しくて
わざと回り道をして帰る日没前後こそ、春のハイライトかもしれない。
帰る道々花咲く木の枝を見上げると
去年も、おととしも、その前も
同じ顔をして木の花を眺める自分の姿が見えた。
いったいこんな何度目の春だったことか。
そんな春を重ねて眺める昔の、いつのまにか遠くなったこと・・・。
遅き日の積もりて遠きむかしかな BUSON
・・蕪村さんとは、今度は雨の日に一緒に散歩に行く約束をしてわかれたのであった。