太平洋側の冬
冬晴れの続く乾いた1月の空気はしだいにざらついて、
時々雨が恋しくなることがある。
しかし、待ち焦がれるほどの冬の雨なのに、
不思議とその記憶は希薄であまり印象に残っていない。
基本的に日本人は晴れ待ち民族で、雪ならともかく、
やっかいな氷雨の印象のある冬の雨では
良い印象をもたれないためなのだろう。
低温乾燥が続けば風邪やインフルエンザが流行しやすくなる
というのは良く知られたとおりで、
湿り気の必要な太平洋側の冬にこそ望まれるべきものである雨だが、
たいして歓迎されないのは公平でないような気もする。
北風、木枯らし、雪、雲、あられ、
それぞれ童話や物語に擬人化されてはしばしば登場するキャラクターだが、
冬の雨をなぞらえた例を私は知らない。
雪も降らなければ雪のキャラクターの活躍する場面もないので、
冬の文化の深さと物語の重厚さにおいて
北国に見劣りすることは隠しようもない。
水たまりに映る洗いあがったような空を眺めていると
ひりひりするような冷たい風がまた吹き抜けていった。
雪も氷もないこのあたりの冬は、ひたすら穏やかな晴れと北風、
時折いたって控えめな雨雲が過ぎていく、今は春待つ季節である。
