ある冬の日の夕暮れ
晴れた冬の日には、夕闇が迫ってくる空を眺めるのが好きだ。
冬は時間に伴う空の変化が早いので、
日が落ちるにつれてあたりの景色はどんどん色彩を失っていって、
やがて樹木も家も、黒曜石のような澄んだ闇の中に浸されて
闇色の階調だけですべてが描かれるモノトーンの世界に入っていく。
この時、唯一色のついた活動物として自分だけが取り残されたような
感覚は、ぞくぞくするほどの孤独と似ている。
社会的な営みにあって毎日を流される私たちは
誤解しがちなことではあるが、
孤独とは常にネガティブなものではない。
孤独においてのみ、私たちは世事のわずらいを脱して
社会の単なる使用価値ではなくなり、
全宇宙と対話する契機を得ることができる、ともいえる。
*
掃き出しの窓から外に出ると、地の際に薄明を残した同じ空に
金星と火星がかかっているのが見えた。
遠い星の光だが
このときばかりは孤独界から
元の世界へ戻る合図のような気がした、冬の日の夕暮れ。
うー寒い、寒いのは当然飲む口実になる。
