『ロズウェルなんか知らない』 キッチュで何が悪い!?
文化なし遺跡なし歴史なし温泉なし。スキー場の運営会社にも逃げられ、
ゴルフ場建設も頓挫、衰弱死を待つだけの過疎の村。
嫁の来るあてもなく、中年にさしかかった村の青年会のメンバーが、企てた企画が
村ごと四次元名所化、UFOで村おこし。
決してふざけた話でなく、当人達は半ばヤケクソながらも大まじめ。
うち捨てられたスキー場や観光施設には多少怪異なお化粧を施し、
意味ありげに並べた石はストーンサークルもどき。
頭の固い年寄りや、邪魔にしかならない村の役人達との軋轢を経つつも、
ラッキーも手伝って、一躍日本のミステリーゾーンとして観光誘致に成功したものの、
良識派のしたり顔したマスコミや、ヤラセのテレビ局のスキャンダルで、
村はたちまちバッシングの渦中となり、もはやこれまでか、と思ったのだけれど・・・。
リアルな、地方の窮状と、行政の無能、マスコミの無責任、
世間の良識派ぶりと、観光ニーズのあり方、等々、現代日本の状況の一断片を、
深刻ながらコミカルに描いた快作ですな。
一方で、オカルトがオウムのような反社会的凶悪犯罪の温床となったという面は、
確かにあるかもしれません。エセ科学を胡散臭いものと見抜けずに、
被害者に転落していく人の多いことも事実です。
(私もエセ科学商法 ーマイナスイオンとか- はこれまで通り、
徹底的に糾弾していくつもりです。)
でも、インチキをインチキとして、胡散臭いものは胡散臭いままに楽しむというのも
文化的行為のあり方ではあるわけで、
お祭りイベントとしてのキッチュな非日常空間って、私は実はきらいでありません。
村の中年青年会の怪挙に快哉を叫びたくなる、元気の出る一冊。
今度「私の好きなキッチュなもの特集」でもやろうかなあ。
(秘宝館なんかじゃないですよ)
