夏の夜はやっぱり怪談!
岡本綺堂の短編に「すいか」という怪談の名品があります。
すいかの中からヘビやカエルがでてきたり、風呂敷に包まれたすいかが
生首に見えたり、祟りがあってその真偽のほどをはかりかねているうちに
友人はすいかを食べて腸チフスで死んでしまいます・・・。
小学生の時に読んだ作品ですが、夏の湿った空気と冷や汗にぬれた
シャツがまとわりつくような、奇妙な怖さは今もって鮮明に記憶に
残っています。
今にして思えば、スイカなどという、ポップなデザインで明るい夏の代表イメージを、
よくぞ怪談に仕立てたということとの違和感もあるのですが、
これは例えば虫もつかず土の匂いのしない状態ですいかに接している
現代人の感想なのでしょう。
綺堂の時代とは生活も身の回りを取り巻く環境も
大きく変わっていますから、
怖さの対象も怪談も世に連れてその質が変わっていかねば
ならないのでしょう。
もっとも、
時代も場所も問わず使える「万能怪談」というものもありました。
以下この一例。
まず、夜静かなところで車座になって灯りを消し、
順に怖い話をして雰囲気が盛り上がってきたところで
真打(もちろん私)が語り始めます・・・
古屋の夜中、紙を握り締めて外の便所へ行ったのだが、
もちろん水洗などあるわけがない。
早く済ませて戻ろうとするが、こんな時に限ってなかなかすまない。
するとそこに、生暖かい風とともに、
下から青白い手が伸びてきて尻をなでる。
あまりの恐怖に身動きもとれず、声も出せないのだが
手の向うから声がかかる。
「か~み~を~く~れ~」
震える手で握り締めた紙を一枚渡してやると手は消えたが
すぐにまた現れて尻をなでる。
「か~み~を~く~れ~」
こうして、一枚、また一枚と紙を渡すうちに
ついに紙は最後の一枚となってしまった。
しかし白い手はまた現れ
仕方なしに最後の一枚を渡そうとすると、
手がびくっと動いた。
「違う・・このかみじゃない・・・・、この髪だー!」
最後の言葉は充分に演出を効かせ
同時に隣の女の子の髪をむんずとつかむのです。
野郎と女の子が同数ほどなら、野郎どもには予め手筈を知らせて
一緒にむんずに参加してもらうとなお良いでしょう。
何の事はない、暗いところでいきなり「わっ」とおどかすだけですね。
これで泣かせた女は数知れない・・自慢じゃありませんが。
うわははははははっは・・・・