チュウハイです。
バックブレース作業です。
手始めに、一番下をほぼ無くしました。
完全に無くしてこのまま交換するのが本当はいいのですが。。。
接ぎ合わせ箇所が開いちゃってるのよね。
勿論、こんな雑に接ぎ合わせをするわけなくて、塗装もせず木口もそのまま3年放置した結果、木が痩せて開いてしまったのです。
おおー、乾燥するとやっぱり木口から痩せるのね!
しかし、流石にこのままブレースを交換するのはねぇ。
仕方ないので、バックブレースを全て取り除きましょう。
当然、1本削るごとに、タップトーンを録音してバックの特性変化を観察しています。
やっぱりボディに接着している状態と挙動が違うので、どーしたもんかとは思っています。
とはいえ、バックブレースの有無によって結構重要なことも分かります。
バックブレースが全てある状態
バックブレースが無い状態
バックブレース有りだと、400Hz帯に共振のピークが有ります。
バックブレースが無いと、400Hz帯に共振らしい共振が有りません。
これ、ギターにとって超重要。
400Hz帯は1弦3F~7F付近に該当します。
バックブレースがあることで、1弦の鳴りに対してしっかりとした増幅がかかる、ということなのですな。
バックブレースが無いと、1弦の結構使うポジションの鳴りがイマイチになります。
…まあ設計次第で、バックブレースが有っても400Hz帯の増幅が存在しないケースもあるんですが。
その「設計」を段階的に考えることが出来ます。
まず、材の質で「どのくらいクリアな音が鳴るか」が決まる。
その剛性と重さの設定により、「どの辺のレンジが鳴るポイントになるか」が決まる。
理解しやすい形で言えば、板厚次第でギターが良く鳴るレンジが決まる。
ブレースで、そのレンジ内のどこにフォーカスするか、どのくらいの振幅を出すかが決まる。
周波数と物性の関係を考えると、間違いなくそういうことですね。
例えば、やたら分厚いトップにした場合は材がカチカチで、各共振周波数がかなり高いところに存在してしまいます。
その場合、ブレースでどう頑張っても「1弦のいいところ」に共振周波数が合いません。
伝統的なアコギレンジから外れ、1弦で太い音が絶対に鳴らないアコギになります。
極端に薄いトップにした場合も、レンジが外れるという意味で一緒です。
結局のとこ、常識的な範囲は「物理」で決まっていると言えます。
しかし、敢えてこのレンジを外している常識外れのアコギも有りまして。
かなりマイナーですが、それは「全体に材の共振を利用しない」という思想のもので。
私からすると明らかに音が細いのですが、製品として存在します。
という程度に、アコギ製作は自由度が認められてはいます。
製作者は、ギターが持つレンジの「何処を鳴らすべきか」を考え、自分がどうするかを決めたうえで設計を考えるべきなのですな。
では。