チュウハイです。

 

 

先週のエレキに続き、アコギの起源的なものをザックリ調べました。

 

別に見なくていいんですが、主な出来事の年表。

 

 

 

 

うーん。アコギ史はなかなかに厄介です。

 

エレキほど急激に形が出来上がるわけではなく、緩やかな変化なのですが。

 

いろいろと出来事が多いです。

 

 

 

とりあえず、私が調べた中で象徴的な出来事を書いて、モダンアコースティックギターの完成まで辿り着こうと思います。

 
 
まずは1800年台に遡ります。

 

これ↓が1834年にC.F.Martinが製作した、公式に最も古いギターとされています。

 

 

 

C.F.の楽器製作の師である、Johann George Staufferスタイルのガット弦ギターです。

 

これはクラギでもアコギでもなく、19世紀ギターなのですが、ブリッジピンがあるのよね。

 

 

 

19世紀ギターはブリッジピンでガット弦を留めるのが一般的で、アコギのブリッジピンはここに由来します。

 

 

さらに言えば、ブリッジピンそのものは例えば1638年製のキタラ・バッテンテと呼ばれる楽器には既に使われていたり。

 

 

 

中世のハープにも同じ構造があり、楽器製作のアイデアとしては新しいどころか超古いものなのでした。

 

 

余談ですが、1800年台前半はまさに19世紀ギターの時代で、クラシックギターも成立していません。

 

1850年台にTorresがクラギの「現代ギター」を完成させ、ヨーロッパのガット弦ギターからピンは無くなっていきます。

 

 

 

アメリカではブリッジピンが生き残ってアコギへと繋がって行きますが、「アコギ」への道は長いです。

 

 

 

話はC.F.が作った1834スタウファーモデルに戻ります。

 

ブレースはどんなか?

 

実機のブレース写真はないですが、Staufferモデルならこんなものかも知れませんし。

 

 

 

ファンブレースかも知れません。これも初期C.F.Martin作品です。

 

 

 

ということで、この時点ではXブレースはまだなのですね。

 

 

 

スタウファーモデルから9年後、1843年。

 

C.F.はXブレースを使用した最初のギターを製作。

 

 

 

モダンアコギ構造の超重要な部分が完成します。

 

が、ここでアコギが出来上がったわけではないです。

 

これ、記述がないので正確なところは分かりませんが、多分ガット弦ギターとして作られてます。

 

公式にMartinが鉄弦ギターを採用した時期はずーーーっと後です。

 

また、1843年以降にMartinがXブレースを標準仕様にしたわけでもないので、この時点のXブレースは選択肢の1つでしか有りません。

 

 

 

少しまた脱線しつつ。

 

ギターの歴史は大音量化の歴史でもあって、19世紀ギターの大音量化の結果として

 

前述の通り、ヨーロッパでは1850年頃にトーレスが「クラギ」を完成させます。

 

 

アメリカでは1873年or1877年にC.F.Martinがボディサイズを上げた00サイズを作ります。

 

↓現行の00-28ですが。

 

 

「アコギ」らしさの象徴?であるドレッドノートに向けて、以降も少しずつ大きくなっていきます。

 

 

 

1890年台の終わり頃、初めて鉄弦ギターを製作・販売したのがLarson Brothersと言われています。

 

1904 Larson Maurer

 

 

鉄弦ギターをアコースティックギターと言うなら、ここがアコギの起源かも知れません。

 

画像のギターの説明文にはXブレースと書いてありましたが、、、怪しい。

 

私が調べた限り、1900~1910年代のLarsonギターはラダーブレースが主流です。

 

 

 

1901年、Martinはさらなる大型化で000サイズをリリースします(↓000-21)。

 

 

 

今では000サイズは鉄弦ギターですが、恐らく当時はガット・ナイロン弦ギターです。

 

 

 

翌1902年、Gibsonが初の鉄弦アーチトップL-1・L-2を発売(フラットトップはまだ作ってない)。

 

 

 

ラダーブレース(?)、アーチトップではあるものの、Martinに先んじて鉄弦に参入したのがGibsonでした。

 

 

000から15年後の1916年、販売代理店であるDitsonのオーダーで、Martinが初のドレッドノートサイズを作ります。

 

 

 

これはハワイアン向けの鉄弦ギターで、恐らく公式にはMartin製で初の鉄弦ギターかと。

 

けど、MartinブランドではなくDitsonブランドのギターで、12Fジョイント、ごつめのファンブレースです。

 

 

 

鉄弦ドレッドとは言っても、モダンアコースティックギターには成って無いですね。

 

Martinで「鉄弦ギターはXブレース」と決まったのは1920年台。

 

 

1926年、Gibsonが初のフラットトップギターL-1を発売。

 

 

 

ロバートジョンソンで有名なアレですね。12Fジョイント、Aスタイルブレース。

 

 

 

 

1929年、Martinが初の14Fジョイント鉄弦のOMモデルを発売。

 

 

 

ようやく現代的なスペックが出てきました。

 

この年にMartinは鉄弦ギターへ全面移行したそうです。

 

モダンアコースティックギターのスペックも完成したので、ここが現代に続くモダン「アコギ」のスタート地点かも知れません。

 

 

 

1931年、Martinの自社ブランドで初のドレッドノートD-1、D-2が発売。

 

 

 

今のドレッドとはちょいとシェイプが違いますし、12Fジョイントなんですよね。

 

OMで14Fジョイントを作ったものの、モダンギターのスペックがまだ定着していないことが分かります。

 

中身はMartinらしいScalloped Xを見ることが出来ます。

 

 

 

 

D-1の3年後の1934年、ようやく鉄弦14FジョイントのドレッドノートD-18、D-28が生まれます。

 

 

 

 

同年、Gibsonが初のJumboモデルで大型ボディ14FジョイントXブレースのギターを発売。

 

 

 
 
面白いことに、MartinもGibsonも同じ年に、モダンアコースティックギターの特徴である

 

・Xブレース

・14Fジョイント
・ソリッドヘッドストック
・大型ボディ

 

を完成・標準仕様にし、ギターの大音量化・大型化もここで終わります。

 

 

何故だか分かりませんが、1934年がターニングポイントになっているんですよねぇ。

 

私としてはこの年がモダンアコースティックギターが確立した年と思います。

 

以降のアコギは、多少の変化はあれど、基本的にはマイナーチェンジ的なものかと。

 

 

 

そんなわけで、ただ史実を羅列しただけで大変なことになりました。

 

アコースティックギターがどう形作られたのかの話。

 

(情報に間違いや抜けがあるかも知れません。不確かな情報が多いもので。)

 

 

 

では。