チュウハイです。

 

 

今週、偶然見かけたヤイリ動画です。

 

 

 

もう少し深めて欲しい、と願うのは贅沢か。


んじゃ、私が深めてみます。

 

 

 

年末にサドルと弦の接点を調整しました。

 

調整前は↑で道前さんが示したセッティング(9:49~)とかなり似た感じでした。

 

 

 

ピン寄りに傾斜をつけて、弦との接触点を広くとる形ですね。

 

 

それを、かなり点接点に変更。

 

 

 

弦との接触量がそれぞれ2mmほど減った感じですかね。

 

 

改めて、その違いだけでギターの鳴り方が別物になります。

 

「あーやっちまった。元に戻したい。」

 

と思っておるのですが。。。

 

 

 

簡単に言えば、ナットもサドルも、

 

 

 

①弦との接点大 ⇒弦が鳴ってる感の多い音

②弦との接点小 ⇒箱が鳴ってる感の多い音

 

になります。

 

また、後者の方が音の張りや迫力、リバーブ感が強いです。

 

 

 

と書くと、点接点の方が良いように思われるかもですが。

 

どちらが良い、と常に言えるものではなく個体に適したバランスが重要。

 

(また「バランス」か!)

 



ナット・サドルの前に、アコギそのもののバランスについて触れておきます。



 

実のところ、高価なアコギでも「木や箱を鳴らしまくっているから鳴りが良い」訳ではありません。

変なDIYや実験を色々やった私から見れば、太く鳴らそうと思えばもっと太く鳴らせるのに、そのずっと手前までしか鳴らしてません。

 

これは、そもそも金属質な細さにこそアコギサウンドの美しさがあるから、なのです。

 
アコギは、細い音で良いのだ。細い音が良いのだ。
 
 
年末に矢後君のGreenfieldやOkita Guitarsの音を聴いていて、ようやくそれを言語化できました。

 

 


楽器として聴けば、細いよなぁ。


でも、高音弦の繊細な音に美しさの多くが詰まっているし、アコギとしての太さはしっかりあるんですよね。

 

 

それくらいがいい。

 

 

木・箱をガンガン鳴らして太く鳴らせば良いってものでもなく、

 

同時に、細いアコギなりの太さというのもあり、

 

木が鳴ってなきゃいかんのだが、さほど鳴らさんでいいのよな!


というバランスが良い具合だと考えています。

 

 

 

そのうえで、ナット・サドルの話。


接点調整というのは

 

●接点を大きくする ⇒弦鳴り(シャリシャリや輪郭的なとこ)が前に出て、太さが薄れる


●接点を小さくする ⇒箱が鳴って太さが出てシャリシャリが薄れる

 
このトレードオフの関係を用いて、如何に良いバランスに落とすか、という問題。
 
根本的にはギターの音は木部の作りで決まりますが、そのうえでの「木⇄弦 の鳴り配分」みたいな調整をナット・サドルで行います。

 

 

 

仕組みから考えておきますと。

 

トップにかかるトルクの方向が変わることでトップの駆動率(振動量)が変わり、ギター全体の鳴り方が変わる、というところじゃないかと。

 

 

 

点接点の方がトップ垂直方向に力が集中し、よりトップを振動させる働きが強くなる(結果としてバックも鳴る→箱鳴り)。

 

線接点は圧力の方向が分散し、トップを垂直に駆動する力が弱くなり(結果としてバックも鳴らない)、弦鳴り成分が前に出てくる。

 

実際、点接点の方がトップの振幅が大きい体感がありますので、恐らくこんなところです。

 

 

 

一般的にはあまり箱鳴り感のないアコギが多いので、市販の成形済みサドルのように、点接点気味の調整が好まれることは多いんじゃないかなー。

 

 

 

 

とは言えます。本当に一般論として。

 

 

それで良いなら良いが、点接点にも線接点にもデメリットもあるのでねぇ。

 

①点接点のデメリット

 ・迫力がやたらと出て楽器としては聞き苦しい音になりがち

 ・弦鳴り成分が無くなり、輪郭が分かりにくくなりがち、分離悪くなりがち

 

②線接点のデメリット

 ・薄っぺらく細い音になりがち

 ・低音が少なく迫力がなくなりがち

 

 

過去の経験を総括すると、①も②もアルアルですし、どちらに振っても失うものが有ります。


元々箱が良く鳴るなら、点接点にしないほうが良い可能性も十分にあります。



重要なのは、ナット・サドルはあくまで「鳴りの配分」をしているだけ、という点。


また、あくまでバランスを整えるのが目的。

 

てことは意識しておく必要があるなと。

 

 

 

では、「適度な接触量、良いバランス」を見極めるには?

 

 

道前さんのようにピン側に少し傾斜をつけて、極端な点接点を避けておく、てのはアリと思います。

こうしておけば、弦鳴りも箱鳴りも感じられるバランスです。
 

ガッツリ詰めるなら、最初に接点をかなり大きくとっておき、本当にすこーしずつ接点を狭めていき、良いところで作業をやめる。

 

都度、音を確認しながらなので、かなりめんどくさいですし、多分1度は失敗して作り直しになりますけどね。

 

それでもやる価値がある程度にギターの鳴り方を変えることが出来るし、いい感じに落とせれば幸せが待っています。

 

(ただし、木部が残念なギターだとあまり意味ない)

 

 

 

個人的にはソモジとかが採用している6mm厚くらいのサドルで調整してみたいなーと思っているところ。

 

 

 

そのうちサドルスロットを掘り直すかな。

 

 
 
たかがナット・サドルだし、「ただ交換する」だけなら簡単なんですけどねぇ。
 
詰めようとすると極端に厄介なことになるのがアコギってやつだなと感じてます。
 

 

 

では。