チュウハイです。
今回は、エレキ及びアコギの設計を俯瞰してみます。
メジャーなギターのスケールや各部のアングルをまとめるとこんな感じです。一般的にね。
アングル関係は年代と個体差で変わるのですが、
ネックアングルを今の主流で絵にするとこんな具合。
比較しながら見てみます。
(以下、またテンションという言葉を良いように使います。)
3者の中でスケールが極端に短いレスポールは、ネックにもヘッドにもキツイアングルを入れて、テンションを稼いでいます。
が、弦のボディ側エンドにはあまりアングルが入ってません(赤丸の部分)。
メイプルトップマホガニーバックで重くて鳴りにくいうえに、設計的にボディを鳴らしに行ってないんじゃね?
そんな気がします。
実際に、フェンダー系と比べるとレスポールのボディはあまり鳴らないのがフツーですね(私見)。
鳴らしに行かない癖に、ボディ材はやたら高額。
なんて考えると、ものっそいコストバランスが悪いギターな気がするんだがw
フェンダー系は、以前も書いた通り木工レベルでは全て平行。アングルの概念が有りません。
設計上は赤丸の部分のみでテンション設定することになります。
ヘッド側では1弦~6弦それぞれで違うテンションをかけていて、弦によって鳴らし方が違うのが特徴的です。
弦のボディ側エンドはレスポールよりもキツいアングルが設定されています。
レスポールと比較すれば、フェンダーはボディをより鳴らし、ネックはあまり鳴らさない形だよな?と。
特にテレキャスターは。
ふーむ。
D-28はほぼフェンダーのスケールで、全体にキツいアングルでテンションが高いですね。
今回並べて見て気づいたのですが、弦のボディ側エンドの構造はフェンダー系によく似ています。
つまり、ボディ側はテレキャスターのように鳴らし、ネック側はレスポールのように鳴らす形。
ソリッドエレキは、ボディかネックのどちらかを積極的に鳴らしに行ってる感じに見えるのですが。
アコギは、ボディもネックも積極的に鳴らしに行く、と。
構造面だけでなく、アコギとエレキは弦のゲージが違いますからね。
09-42、10-46が主流のエレキに対して、アコギはこのあたりが現在の主流。
弦そのものの強いテンションと構造的なテンション、両方を使って弦を強力にギターに押し付けて木部特性を引き出すのがアコギやフルアコです。
ソリッド系は箱物に比べると弦の押し付けが弱く、木部の音響特性をあまり出さない造りです。
箱物と比べれば、「ネックやボディが鳴っちゃってる」くらいになっているかと。
これは、ピックアップで拾う弦鳴りが重視されるからでしょう。
弦の振動エネルギーがボディやネックで消費・損失されすぎると困る、弦振動に木部の鳴りが影響され過ぎると困る、そんな造りになってる気がします。
まあ、以上は当たり前っちゃ当たり前の話。
とはいえです。
エレキのテンション設定はトーンの決定においてかなり重要です。
どうやって、そのテンション設定が決まったのか?
気になるところです。
「ソリッドなんだから鳴らないギターでいい」
基本はこれで考えられ、鳴らしに行かず弾きやすいテンションで設計されたのがエレキかと思われます。
が、
鳴らないギターで良いけれど、「鳴らない」を追求したモノでもない。
エレキの評価では、「鳴らないから」良いエレキギターであるとは言えない。
「鳴っちゃう」うえで、いい具合の音に落とし込まれるテンション設計になっている。
40年代50年代に、「エレキの鳴り」なんて概念は恐らく無い。
テキトーなのか、音に関する試験がかなり行われたのか。
ギブソンもフェンダーも割と初期に基本構造は決まっていて、今でも大して変わっておらず、いい感じのテンション設定になっている。
こういうところが凄いし、不思議なんだよなぁ。
当然、メーカーごとの試行錯誤はあるのですけどね。
いろいろ考えてて、嫌になってきたwww
では。