小さな映像制作会社にようやく就職し、日々苛酷な労働を強いられている岸田智也に、友人であり会社の同僚でもあった佐藤あおいがアメリカで事故死したと知らせが届く。大学時代、智也の失恋騒ぎをきっかけに親しくなったあおいは、映画研究会に智也を引きずり込み、監督作「THE END OF THE WORLD」に主演させたのだった。卒業後、定職に就けないでいた智也に今の仕事を世話したあおいはひとり渡米する。
届かぬ想い、すれ違う心、失って初めて気づく大切な存在。ここには普遍的な恋愛のかたちがある。失恋したから、もう日本にはいたくない。でも、そばにいてと言われたら、きっと行かない――そんな女心に、鈍いのかずるいのか応えられない主人公・智也を演じる市原隼人がいい味だ。若い世代の心の揺れを描くのが抜群に上手い岩井俊二が、自身でメガホンをとらない初のプロデュース作品だが、日常の会話に潜む可笑しさとせつない恋心に満ちていて極めて岩井俊二らしい。また、岩井同様、学生時代に自主映画制作にのめり込んだ監督・熊澤尚人の8ミリ映画への愛が上野樹里演じるあおいの熱意に重なる。原案は脚本も手がけた人気作家の桜井亜美。