平凡で面白みのない男、ハロルド。国税庁の会計検査官である彼は、過去12年間、毎日決まりきった生活を送っている。しかしある朝、ハロルドの頭の中に、彼の行動を文学的な表現で語る女性の声が割り込んできた。それからというもの、その声はハロルドの頭にたびたび響くようになる。彼女によれば彼はどうも小説の主人公のようで、しかも彼に死が近づいていることもほのめかしていた。それから自分の運命を変えようとするハロルドの奮闘が始まった。

自分の人生が一編の小説なら、それを書いているのはみな自分自身だと思っている。しかし実はそうでなく、人生とは誰かの思惑通りに生きているだけで、自分の意志で本当に生きたことなどないのかもしれない。コメディの形を取っているが、この作品は人生を主体的に生きていない人たちへ向けたシビアな寓話だ。ジム・キャリー主演の『トゥルーマン・ショー』にも通じる世界だが、本作の小説家はハロルドの人生に影響を与えていることに無自覚だ。現実世界でも、自分が人に与える影響に対して無自覚な人がいるように。監督は『チョコレート』『ネバーランド』などの感動作を生んでいるM・フォースター。ハロルド役のウィル・フェレルが好演。