元報道カメラマンの上野和馬はガンを患い、余命半年と宣告されていた。余生を懐かしい田舎町で過ごしたいと久留米に戻る。昔の同級生がいるホスピスに入院した彼のもとに、懐かしい友達が訪れ、卒業写真を眺めながら思い出話に花が咲く。だが和馬にはどうしても思い出せない場面があった。和馬は自分の記憶を呼び覚ますために、妻の由紀子の力を借りて、最後の写真集を撮りあげることを決意する。

両親を亡くした少年と町の人々との交流を描いた福岡県新宮町が舞台の『千年火』、四日市市の工業地帯に住む少女の成長を見守る『いずれの森か青き海』に続いて、瀬木直貴監督が新たな“リージョナル”映画を作り上げた。今回は福岡県久留米市を舞台に選び、あたたかい眼差しでそこに暮らす人々を見つめている。運命を受け入れ、残された日々を前向きに過ごす青年を津田寛治が好演している。歴史を感じさせる町並みと田園風景が美しく切り取られ、劇中でカメラを構える主人公の心情が巧みに表現されている。