16才で「夏と花火と私の死体」
で鮮烈なデビューを飾った作者の二作目がついに文庫本化。乙一は最近コンスタントに「石の目」
「失踪HOLIDAY」
「きみにしか聞こえない CALLING YOU」
に出してどれも評判をとっています。
今回は二つの中編が収録されています。
「A MASKED BALL」:
アイデアがいいなあ。閉鎖社会での匿名でのコミュニケーションの方法がトイレの落書きとは。この時期特有の息苦しさや登場人物同士のコミュニケーションのとり方の距離がなかなかにうまい。ストーリーの展開にしても技ありな作品です。
「天帝妖狐」:友達と馴染めない少年がひとりでこっくりさん遊びを始めた。そのときに何かが彼にとりついたが、その見えない何かと少年は遊びつづけていた。そしてある日、その中が彼に告げた。「永遠の命をやろう」と。それを受け入れた彼の身に起こったのは…
中島敦の「山月記」を思わせるような話。(「山月記」にも元ネタはありますが)ホラーといえばホラーなんだけど、泣ける話にしあがっています。泣きツボ押すのがうまいですな、このお方は。
この本はデビューニ作目のためにまだこなれてない印象を受けますが、読んで損はない作品かと。「ホラー」と銘打たれてますが、別に怖くないです。というかそっちを期待するとスカされたような感じになるかも…
この作者のはどれも読みきり作品ですからどれから読んでも大丈夫。個人的には収録作品のバランスのとれた「失踪HOLIDAY」
がオススメ。