イブの夜、九時、思い出の場所で待つ。堯子老人の元に届いた電報は、五年前に死んだはずの妻からのものだった。誰がそんなことをしたのか。単なる嫌がらせとも思えない。しかも彼には文面が告げる思い出の場所について、まったく見当がつかないのだった。石神探偵事務所を訪れた老人の依頼を受けた狩野俊介は、そこで誰かが待っているはずだ、と推理する本当に大切なものとは何か、それに気づいたとき四つの事件の鍵は開く。大人がいつのまにか失ってしまった心の忘れ物を描く心温まる連作ミステリー集。