謎に満ちたクラシックカーの最高傑作、ブガッティ・ロアイヤルは、ロンドン自動車博物館の地下駐車場にその気品のある巨体を休めていた。話のわかる管理人の好意で見て見ぬふりの五分間をもらった私は、胸を轟かせながら運転席にもぐり込んだ。だが、夢にまで見たこの至福の一瞬が、私を異郷の地ロンドンでのとんでもない冒険に巻きこむことになった。酔いしれている私の傍らに、修理工を装った若い男が押し入り、いきなりブガッティを発進させたのだ。しかも、制止する博物館員を振り切って開始された逃走劇に慌てる私の手は、巧妙にシートに隠されていた白い布包みの中身は、大英博物館に陳列されている物と対をなす、中国美術品だった!