【ワシントン】米ブッシュ政権が、6月の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で、議長国ドイツが唱える温室効果ガス排出量の削減目標の設置を拒否する見通しが強まっている。欧州や日本との事前交渉で、2050年までに半減させるための数値目標設置に反対する姿勢を貫いているからだ。しかし、13年以降の「ポスト京都議定書」の枠組み構築に向け、米国に対する主要国の圧力は激しさを増している。

 地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス削減の取り組みはサミットの主要議題だ。ワシントンの欧州外交筋は「日欧が米国に働きかけているが、結果は分からない」と述べ、削減目標設置での合意は困難との見通しを示した。

 25日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、メルケル独首相は24日、米国と合意できるかどうかは分からないと述べたという。

 また、ロイター通信が入手した共同声明の草案には「気候変動への対応は、われわれの姿勢と対立している。われわれが同意できない点に関して超えてはならない一線を越えている」などの米側の書き込みがあった。これは事務レベルの大詰めの交渉で、米政府が強く反対していることをうかがわせている。

 国内産業に悪影響を与えるとして01年に京都議定書を離脱したブッシュ政権。今年に入り、温暖化対策に力を入れる素振りを見せたものの、代替燃料のエタノール普及や、自動車の燃費向上など環境技術の開発が中心で、温室効果ガスは「民間の自主的削減に任せる」という原則は変えていない。強制力を持った数値目標の設置は米国にとって越えてはならない一線というわけだ。

 23日に米エネルギー情報局が、米国内の06年のCO2排出量が前年比1・3%減少したと発表すると、大統領は「米国は効果的に気候変動に立ち向かっている」と声明を出した。

 しかし「ポスト京都」の国際的枠組みに中国やインドなどの新興国の参加を促すためにも、最大の排出国、米国の率先垂範は不可欠であり、ブッシュ政権に強制削減の容認を迫る国際的な包囲網が形成されつつある。