この度の日銀の金融政策の変更は、明らかに対話不足と感じる。それは、政府にも、財務省及び金融庁にも、市場にも、メディアにも更に日銀社内においても、、、。結果として、誰も溜飲を下げることが出来なかった今回の政策変更は、政府が前門の虎なら、社内が後門の狼だったのではないかと邪推する。
まず、時系列で見てみよう。
我々が判断出来る材料としては、日銀のブラックアウト直前の27日の午後6時から行われた「山口副総裁就任記者会見要旨 」がある。この中で、記者の下記の問いに対し、利下げの地均しは全く行われていない(この日は、日経平均株価が7000円割れをした日でもある)。
(問)世界の中央銀行は豊富な資金供給とともに利下げを行ってきました。一方、日本銀行は豊富な資金供給は行ってきましたが、利下げには踏み切りませんでした。これまでの一連の対応について、どのような考えをお持ちでしたでしょうか?
(答)現在の政策金利の水準について、私どもとしてどう評価しているかということから話をします。現在の政策金利0.5%という水準については、日本の経済成長率や物価上昇率との関係からみて極めて低い、緩和的な水準が維持されていると認識しています。、、、ただ、国際金融資本市場の動向が極めて緊張感に満ちた状況になりつつあるため、これまで弾力的かつ大量の流動性の供給を通じて金融市場の安定確保に努めてきたわけですが、今後ともそうした対応を続けていきたいと思います。
と答えている。このスタンスは、従前の日銀のスタンスから変化は無い。ブラックアウト直前に、市場やメディアに向けて発せられた日銀の最後のメッセージは、どう見ても、「金利は既に緩和的な状態なので、流動性供給に引続き重点を置く。」であった。私もこの時点で、日銀はやはり利下げのカードは切りたくないのだろうと思った。
28日までは、BOJウォッチャーからは「付利」がメインシナリオで解説がされていた。これは、日銀からの情報発信も利下げではなく、付利の話がメインで語られていたからであろう。
次に28日の閣議後の与謝野さんの発言が今回のKeyであったと感じる。
ロイターから発言を抜粋すると、
「日銀の金利水準は0.5%で、0.5%に据え置いても、0.25%に引き下げても、経済に対する効果は全くない」とする一方で「象徴的な意味はもつ」と 指摘。さらに「各中央銀行が金利を下げたときに、日本もそれに伴って金利を下げるのは、国際協調の重要な証をたてるという意味で大事だ」と日銀に最も理解のある与謝野さんが利下げが必要だとの考え方を示した。
また、実は閣議後のこの会見の最初の発言は今にして思うと更に意味深だった。
「日銀の金利政策については、政府が積極的に発言をすることは日銀法で予定されていない。仮に意見があれば、政策決定会合に出席し、議事を延期してもらうか、意見を申し上げる正規の手順を踏むべきであって、会見で私が金利水準について発言することは好ましくない」と切り出した。当然の事を発言されているが、ここに至る過程で、政府内で利下げがなければ、定石どおりに議決延期請求権を使うことが議論されてことを感じさせる発言であった(この時点では、私は感じ取れなかったが)。1日日経朝刊には、今回のMPMの裏話(本当かどうかは怪しいが)で、政府が実際にこの議決延期請求権を用意していたと書かれている。水面下での政府からのプレッシャーは相当強くなっていたのであろう。
そして、29日の日経朝刊1面の「日銀利下げ検討 」は、朝刊の最終版のみ掲載された。内容を読んでも日経自身、高い確率での利下げまでを予想した節は見られず、あくまでも「検討」という意味での取扱いだった。市場関係者及びメディアで、この日経記事の裏を取りにいった方々からは、どうも日経は、上段の与謝野さんの会見を受けて「利下げの検討はするだろう」との判断で書いたようだ、、、とのコメントが多かった。
31日13時58分公表、決定会合後の最初のインパクトは、4対4の議長裁定であった。市場もメディアも利下げが4人、現状維持が4人とやはり拮抗していたんだと判断した。それにしても、「みっともない」、「下手だなー」との声が蔓延した。議長裁定では、白川さんのリーダーシップが問われるとの印象からだった。
その後、利下げに対しては実質7対1の賛成で、下げ幅に関しての票が4対3で割れていたことが判明した。ここで更に、市場関係者はがっかりした。「なんだーそれー」、「5BPの差異を執行部はまとめられなかったかのか!」白川日銀の信任は、今回、大きく揺らいだ。この執行部案は、いわば企画案でもあると思われる。私が、企画担当の部下なら、「社長も副社長も、上手くやってよ!」と言いたくなったと思う。
今回の日銀執行部は、前門の虎=政府、後門の狼=社内 の間でダッチロールしたのではないだろうか、、、。市場は置き去りにして、、、。それでも、白川総裁は、MPM後の会見で市場との対話が出来ていると語った。月末最終日の、大引け間際でのこの対応は、オプション関係者は勿論ですが、月末の評価を抱える多くの市場関係者から顰蹙をかったことは事実である。10月は、ただでさえ100年に一度の月だったかもしれない月でしたからね。
市場は、CPの買入れオペや株式の買取りを迅速に決めることを期待していますよ。
白川日銀の今後のリカバリーに大いに期待したい!
まず、時系列で見てみよう。
我々が判断出来る材料としては、日銀のブラックアウト直前の27日の午後6時から行われた「山口副総裁就任記者会見要旨 」がある。この中で、記者の下記の問いに対し、利下げの地均しは全く行われていない(この日は、日経平均株価が7000円割れをした日でもある)。
(問)世界の中央銀行は豊富な資金供給とともに利下げを行ってきました。一方、日本銀行は豊富な資金供給は行ってきましたが、利下げには踏み切りませんでした。これまでの一連の対応について、どのような考えをお持ちでしたでしょうか?
(答)現在の政策金利の水準について、私どもとしてどう評価しているかということから話をします。現在の政策金利0.5%という水準については、日本の経済成長率や物価上昇率との関係からみて極めて低い、緩和的な水準が維持されていると認識しています。、、、ただ、国際金融資本市場の動向が極めて緊張感に満ちた状況になりつつあるため、これまで弾力的かつ大量の流動性の供給を通じて金融市場の安定確保に努めてきたわけですが、今後ともそうした対応を続けていきたいと思います。
と答えている。このスタンスは、従前の日銀のスタンスから変化は無い。ブラックアウト直前に、市場やメディアに向けて発せられた日銀の最後のメッセージは、どう見ても、「金利は既に緩和的な状態なので、流動性供給に引続き重点を置く。」であった。私もこの時点で、日銀はやはり利下げのカードは切りたくないのだろうと思った。
28日までは、BOJウォッチャーからは「付利」がメインシナリオで解説がされていた。これは、日銀からの情報発信も利下げではなく、付利の話がメインで語られていたからであろう。
次に28日の閣議後の与謝野さんの発言が今回のKeyであったと感じる。
ロイターから発言を抜粋すると、
「日銀の金利水準は0.5%で、0.5%に据え置いても、0.25%に引き下げても、経済に対する効果は全くない」とする一方で「象徴的な意味はもつ」と 指摘。さらに「各中央銀行が金利を下げたときに、日本もそれに伴って金利を下げるのは、国際協調の重要な証をたてるという意味で大事だ」と日銀に最も理解のある与謝野さんが利下げが必要だとの考え方を示した。
また、実は閣議後のこの会見の最初の発言は今にして思うと更に意味深だった。
「日銀の金利政策については、政府が積極的に発言をすることは日銀法で予定されていない。仮に意見があれば、政策決定会合に出席し、議事を延期してもらうか、意見を申し上げる正規の手順を踏むべきであって、会見で私が金利水準について発言することは好ましくない」と切り出した。当然の事を発言されているが、ここに至る過程で、政府内で利下げがなければ、定石どおりに議決延期請求権を使うことが議論されてことを感じさせる発言であった(この時点では、私は感じ取れなかったが)。1日日経朝刊には、今回のMPMの裏話(本当かどうかは怪しいが)で、政府が実際にこの議決延期請求権を用意していたと書かれている。水面下での政府からのプレッシャーは相当強くなっていたのであろう。
そして、29日の日経朝刊1面の「日銀利下げ検討 」は、朝刊の最終版のみ掲載された。内容を読んでも日経自身、高い確率での利下げまでを予想した節は見られず、あくまでも「検討」という意味での取扱いだった。市場関係者及びメディアで、この日経記事の裏を取りにいった方々からは、どうも日経は、上段の与謝野さんの会見を受けて「利下げの検討はするだろう」との判断で書いたようだ、、、とのコメントが多かった。
31日13時58分公表、決定会合後の最初のインパクトは、4対4の議長裁定であった。市場もメディアも利下げが4人、現状維持が4人とやはり拮抗していたんだと判断した。それにしても、「みっともない」、「下手だなー」との声が蔓延した。議長裁定では、白川さんのリーダーシップが問われるとの印象からだった。
その後、利下げに対しては実質7対1の賛成で、下げ幅に関しての票が4対3で割れていたことが判明した。ここで更に、市場関係者はがっかりした。「なんだーそれー」、「5BPの差異を執行部はまとめられなかったかのか!」白川日銀の信任は、今回、大きく揺らいだ。この執行部案は、いわば企画案でもあると思われる。私が、企画担当の部下なら、「社長も副社長も、上手くやってよ!」と言いたくなったと思う。
今回の日銀執行部は、前門の虎=政府、後門の狼=社内 の間でダッチロールしたのではないだろうか、、、。市場は置き去りにして、、、。それでも、白川総裁は、MPM後の会見で市場との対話が出来ていると語った。月末最終日の、大引け間際でのこの対応は、オプション関係者は勿論ですが、月末の評価を抱える多くの市場関係者から顰蹙をかったことは事実である。10月は、ただでさえ100年に一度の月だったかもしれない月でしたからね。
市場は、CPの買入れオペや株式の買取りを迅速に決めることを期待していますよ。
白川日銀の今後のリカバリーに大いに期待したい!