一体どれ程の慧眼が僕を値踏みし尾に零を重ねたのか。

 当然僕が頷くまで粘るつもりで来ていた彼は長期戦の構えで、僕は弱っていた。


 「時間が余り有りませんので」
 そう僕が切り出すと。


 「では急いでサインを頂きたいのですが」
 と彼は透かさず返す。
 他社とは云えど人事に携わる人間は何処か苦手だ。

 「一本や二本増やそうが話にならない。億単位で検討を?」
 彼の目を覗き僕がそう尋ねる。

 「無茶な話ですね…高過ぎると云ってみたり、億を積めと云ったり」
 すると彼は驚きもせずそう返してきた。