ストーリーナンバー4と同じイラスト。白いウィッグを被った、ロリータファッションの女の子。髪の毛に大きいリボン付けたり、ヘアピンでデコレーションしてる。シャーペンと水彩色鉛筆で描きました。

 

ユーキくんと出会ったのは、私が高校生の時だったんだ。
高校ではバイト禁止だったんだけどね、
好きなファッションに出会ってしまってさ、
あ、この写真がそうなんだけど。
青山のあのビル街っての?
あそこの、何て駅かはうろ覚えだけど、真冬の時期だったな。

派遣のティッシュ配りのバイトに単発で入って。
派遣先の会社の人にベンチコートやらカイロやら渡されて。
これがビル風ってやつか~って、思ったね。
めっちゃ寒いの!あ、もうね、寒いなんてもんじゃなくって。
凍えながらティッシュ配ってたよ。

そーそー。そこでユーキくんが登場するわけ。
一緒の派遣会社に登録してたんだね、その時一緒にティッシュ配ったんだ。
ユーキくんは内定が決まってたって言ってたから、ギリ大学生だったんだね。
何かね、今でもはしゃいじゃうんだけど、その時のユーキくんやばかったよ?
めっっっちゃカッコいいくて!
だって、亜美がさ、マジ凍えてもうダメ~って思ってたら、
近くのコンビニに駆け込んで、手袋とあったかいココア買ってきてくれて!
そん時だね、好きになっちゃったね。
で、連絡先交換して、付き合うの。あ、仕事終わりだよ、ティッシュもちゃんと全部配ったし!

え?話長い?飽きた?もうちょっと聞いて。
あー…ユーキくんとは12年付き合った。私の好きなファッションも大体それくらい着た。
何でいない?そうだよね。
ごめんね、亜美が手を離しちゃったからなんだ。
んーそうだな。
だからね、ユミちゃん、父の日の似顔絵は、この写真見て描いて?
ぶっちゃけそういう似顔絵描くのとか、テキトーでいいよ?
それに、この頃の亜美が一番パパのこと見てるから。

てゆーか、似顔絵よりももっと大事なこと言うから聞いて、ユミ。
連絡が取れて、会おう?って言ったら会おう!って返事が来て、
会える約束が出来る人って、ユミにとって大事な人だから。
そういう人と会える約束が出来て、実際に会えて、手を繋いで歩けて、
ユミのこと大事にしてくれたら、その人の手を離しちゃダメだよ。
ううん、ママ、泣いてないじゃん!
とりあえず、長い昔バナシになったけど、この話はお終い!

あ~~、そんで、パパのこと馬鹿にしてきた、コータくん?
そいつとは縁切りな。

 

 

***

 

このお話はフィクションです。

 

絵と文章の作者:カプチーノand K