BM14 | HWD+e

BM14

一位はもちろん、リック・フレアーの技なのだが、何の技にするかは迷うところ。一番好きな技は、ジャンピングヴァーティカルスープレックスなのだが。

フレアーは、第二次政権以降、このジャンピングヴァーティカルスープレックスとジャンピングエルボードロップをほとんど使わなくなって行き、もちろんICチャンプの時代には使えなくもなっていたのだけれど、若い頃は決まって、JVS→JED→F4LLのフィニッシュパターンを堅守していた。

王者として足場を固めた頃には、延々と足殺しを重ねて、延々とF4を繰り返し続けるようになっていたため、JVSerとしてのイメージをなかなか抱きにくいが、80年ごろのミッドアトランティックでは、フレアーが腕を首に掛けただけで観衆は総立ちで両腕を突き上げる。垂直からシェルショックドを落とすように、この技を使った。

この技から、マードックの次に素晴らしいジャンピングエルボードロップを決め、チョップブロックなどを経ずしてF4へ直行する。聖地シャーロッテ、グリーンズボロなどだけで拝める、黄金に輝く御神体の身姿だ。

しかし、フレアーの本当の凄さは、卓越したピンフォールの技術にこそあって、ねちねちとニアフォールを繰り返すマットワークにこそ、真の黄金はある。

必ず片エビに固めてクラッチを怠らない。何度も何度もそれを律儀に繰り返す。返されるのを承知でもそれを繰り返す。ニアフォールを解かれればネルソンで再びひっくり返し、今度はハンマーロックの体勢からピンを狙いに行く。立たれれば三度ドロップトーホールドを決め、腕を抱え、首を決めて肩を押さえ、2.5のニアフォールを何度も繰り返す。リードが今必死にコピーすべきはここなのだ。

フレアーは重要な一戦を、不可思議なピンで決着させることがよくあり、独自のピンフォール技術を人知れず持っていたとされる。キールのフォンエリックスとの決着戦では、ケリー、ケヴィンの二人ともを、同じショルダータックルからの横四方型のピンで押並べに破っている。

或いはスティングから奪回したピン。ケリーから奪回したオコーナーロール。ダスティを打ち破ったピン。ヴェイダーを丸めつけ、サヴェージを丸めつけ・・。

或いはフレアーがタイトルを奪われるのも、殆どがこの類の技だ。ケリーのバックスライド、スティングの首固め、ロン・ガーヴィンのサンセットフリップ・・。世界タイトルチェンジはほぼこういう技で起こっている。

そして食い下がるマイク・デイヴィスを鎮めた、チキンウィングのような逆さ押さえ込み。この時フレアーは、首を横に出し、チキンウイングを決めると同時に掌で肩を直接掴み、自肩を壁にして、粘るデイヴィスを垂直逆さに押さえ込んでいる。肩が付いているのを直接確かめるように固めるのは、ロビンソンが猪木を降した時にもやっていたことだ。そしてここで気づくのは、逆さ押さえ込みはバックスライドではなく、アマレスのリヴァースダブルチキンウィングの一種なのだということ。それならここからピンを逃れる術など、あるわけがないと。

1位はリック・フレアーの、リヴァースダブルチキンウィングホールド。

ロビンソンが猪木を仕留めた技であり、フレアーがマイク・デイヴィスを葬った技。アマレスなら必ず勝てる技だ。レスリングは柔道技でクイットを迫ったり、膝蹴り合いをしたり、押し出してポイントを稼ぐスポーツではない。若いレスラーが追求すべきは、クリーンピンフォールへのあくなき道程である。

マイク・デイヴィスが、フレアーにあの技を使わせてくれたことの意味を、今日、思え。

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