BM50 ⑥ | HWD+e

BM50 ⑥

25 ローラン・ボックの鋼鉄風車

そのスティールの如き冷たさと硬さを、竹内はこう評した。メキシコ五輪代表のシュットガルトの英雄、ローラン・ボックの、有無を言わせずクラッチしては投げる、バタフライスープレックス。ブチ投げて埋めるかのようなそのスープレックス群をして、墓堀人とも呼ばれた。

大金を叩いてシュットガルトに大物を呼び付け、半ば騙すような形で偶像破壊に勤しんだ。マスカラスを壊そうとし、アンドレは本気で怒らせ、アリと闘った男には泣きべそを掻かせた。人間風車のみならず、普通のグレコの反り投げもバック投げも凄まじかった。

WWUという新興グループのチャンプも勤め、久々にヨーロッパに革命が起こるかとも言われたが、レスリング以外のところで問題を抱え、自滅みたいなことになって消えた。一時はIWGPの目玉だったはずなのだが。

24 スーパースター・グレアムのフルネルソン

ご存知レスリングの正統技フルネルソン。鉄腕グレアムの、その‘鉄腕’の由来。70年代にグレアム革命と言われた変革を起こさしめた稀代の存在だったグレアムは、76年にWWF王者となり頂に昇るが、それを頂点に下って行く。

体調も崩し、もう完全に終わりかとも思われたが、東洋の神秘に出会い、ブッダに傾倒するとともにカンフーを学び、黒帯のマスターとして復帰する。坊主に口髭で妙なカラテ型をデモンストレーションし、かつてとは別人のようになっていたが、フィニッシュに使ったのは変わらぬこれ、フルネルソンだった。革命家グレアムの精髄を成す正道のエッセンス。

23 キングコング・ブロディのワンハンドスピンスラム

日本では超獣と言われたブロディの、フィニッシュではないながらも、その超獣振りを象徴するような、デヴァステイトなオリジナルムーヴ。これまた別名ゴリラスラム。片手で回し上げられて放り捨てられる方は、格と桁の違いに沈んで行く。

22 ジミー・スヌーカのスーパーフライ

ダイヴィングボディスプラッシュと言えば、今ではエディ・ゲレロ産の蛙飛びが主流だが、スヌーカのスーパーフライは岩石の塊が加速度ドロップして来る型。硬い筋肉の鉄鉱石の塊が、覆うように落っこちて来る。

トップロープを使うのでこれも反則には違いないが、これもやはり重力ドロップベースなのがミソ。蛙飛びは雅力に欠ける。

21 スコット・スタイナーのベリートゥベリースープレックス

オーヴァーヘッドと体向を入れ替えてのサイド式を、使い分けていろいろ繰り出すアマレスの、特にアメリカ系カレッジスタイルの基本技。ビッグパパパンプなどというヒール様キャラで、この基本技を操るスコットは、特異特出なベビーフェイスで、トリプルHなどはそれがよく分かっていたので、自身のロッカ=スティムボートに起用し、オーヴァーヘッドのこの危険技を何度もバンプした。

ただ本人が、自分が優秀なベビーフェイスであるということをあまりよく理解せず、キャラの自運転には苦労していた。ヒール演技の中で見せる入れ替え式のこの技などは、雨空に晴天を見るような矛盾感で、見ているこちらは、フランケンシュタイナーを喰らったようなライトパニックに襲われる。

Scott Steiner/Rosen Publishing Group

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